あいつは結局俺を見ることなんてなかった。視界に捉えてるようでいつも違う場所を見ていたから、視界に写るなんて皆無に等しくて。 「お前は、一体なにを見ている?」 そんなこいつの目が嫌いだった。 大嫌いで――… 「おい、嘘だろ…?こっち見ろよ…!」 嫌いだったのに 「オレは後ろを見ないだけさ」 大好きで、愛しかった存在 「前向いてた方が、カッコいいっしょ?」 「ラビっ…!頼むから、もう一度俺を見ろよっ…」 隣りにはいつもいたはずなのに、気付いた時には遅くて。本当はずっと 「愛して、たんだっ…!」 いつだって お前が見てたのは前ばかりで。俺が見てたのはお前だけだった そう、いつまでも――… (開くことのない彼の目は、俺を写してくれるのだろうか?) |
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