※微エロ注意
03.叶うのならずっとずっと
週に決まって2・3日、新八は万事屋に泊まる。
たまにだが、代わりに神楽が新八の家に泊まり、万事屋には俺と新八の二人で過ごすことがある。
新八の家まで神楽を見送り、夕食を食べ、俺が風呂に入っている間に新八は食器を片付け、今度は新八が風呂に入っている間に俺が布団を敷く。
そして―――
「…ぎ、んさ…ぁっ…」
「…新八」
白い肌が暗い部屋に浮かび上がり、そのあまりの綺麗さに目を奪われる。
窄められた瞼の奥の黒曜石は、いまだ慣れぬ快楽に支配され潤み、しかしいつもと変わらず、真っ直ぐに俺を見上げてくる。
唇を押し当て流れ出る滴を舐めとると、もう記憶の片隅にもいないはずの、どこか母を思い出させるような、優しい笑みを浮かべる新八。
どうした、と問い掛ければ、ふるふると首を横に振り、また、ふわりと笑いかけてくる。
「何か」
思えば、何度もこの微笑みに救われてきた。
子供のように無邪気で、それでいてどこか落ち着いているその微笑みは、心の中の汚いものを浄化させる力があるらしい。
「僕」
この少年が、自分の隣りにいることが当たり前になっていた。
いつでも、いつまでも傍らにいると、傍らにいろと、強く想うようになっていた。
「今、すごく」
でも、それは決して当たり前ではなく。
現在(いま)の幸せがあるのは、多くの偶然と、必然によって生み出されたもので。
「幸せだなぁって…思って」
ぺたぺたと頬に触れながら放たれるその言葉たちは、この汚れたはずの行為さえも綺麗に感じさせて。
頬から髪に移動し、くしゃりと掴み取り、まるで悪戯が成功した小さな子供のように笑うその様に、胸が熱くなる。
「あのね、銀さん」
行為の最中とは思えない楽しそうなその笑みに、つられて笑みを浮かべながら先を促す。
「ずっと」
新八の発する言葉の一つ一つに、胸に渦巻くどす黒い想いが、浄化される。
「ずっと―――」
言葉ではなく、新八の全てから、想いが伝わってくる。
新八から重ねてきた唇は、今まで食べてきた甘い物なんて目ではないほど、とろけそうに甘くて。
じゅくっと甘噛みをすると、聴覚からも甘いものが拾われる。
「―――新八、」
好きだ、愛してる。
言葉にはしきれむほどの、溢れ出る想い。
それを、唇から唇へ伝えれば、今まで見た事のない程幸せそうな笑みを浮かべる愛する人が、また、甘い甘い唇を合わせてきた。
君を想う5のお題
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