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エド少佐未来設定


 ――ドン、ドン、ドン。
 無人の射撃場に、響いた銃声が三つ。
 一瞬の空白の後、吐きだされたため息が一つ。
 落胆とも、安堵とも取れるような静かなその吐息と共に、ゆっくりと下ろされた拳銃の向こうからのぞいた顔は、ホークアイのよく知るそれよりも幾分線がシャープになり、顔つきがぐっと大人びた青年のものだった。
 それから青年――エドワードは、しばらく自分の手の中の銃をじっと見つめていたが、きゅ、と銃を握りこむと顔を上げた。彼の視線の先、人の形を模した的の、人体の急所と呼ばれる三点が撃ち抜かれている。若干のブレはあるものの、あの距離から三発の連射を外さなかったのは、彼が銃を手にするようになってからの月日を数えれば上出来と言ってよかった。


 ――銃を……教えてくれないかな、ホークアイ大尉。


 エドワードがホークアイの自宅を訪ねてきたのは、実を言えば、彼がロイ・マスタングと二年越しの再会をするよりも前のことだった。二年ぶりに顔を合わせた彼は挨拶もそこそこに、玄関先でそう頭を下げたのだ。思わず返答に詰まり、まじまじと目の前の青年を見つめ返してしまったのを覚えている。真っ直ぐに向けられる彼の瞳に、いつであったか、焔のついた眼だと称した声を思い出した。
 あれから、三月。かつて、燃える焔を背負ったような真っ赤なコートを翻して駆けていた子どもは、青い軍服に袖を通すようになり、腰に銃を提げてロイの後ろを歩むようになった。幼いころから変わらない人好きのする性格と明るい笑顔は、老若男女を問わず多くの人間に好意的に受け入れられている。
 エドワードとホークアイの銃の特訓は、暗黙のうちに二人の間で共有する秘密になっていた。エドワードの腰のホルスターに収まった銃は、実はホークアイの愛用するものの一であると気付いている者はおそらく居まい。――その銃が、彼にとって虚勢を張るための飾りではない、ということも。






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