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意地っ張りで
俺様で
素直になんて滅多になれなくて
そんな『工藤新一』だって
人並みの感情が無い訳ではない
やきもち(Side S)
「んーv 美味しーvv」
新一の隣に座って満面の笑みで幸せそうにチョコレートアイスを頬張る快斗を、推理小説を読んでいる振りをして横目でちらっと見る。
その顔は……『この世で一番幸せv』みたいな顔をしている。
そんな快斗の幸せそうな表情に、反対に新一の顔は険しくなる。
(なんだよっ…そんなのがそんなに嬉しいのかよ……)
むむっと新一の眉は寄っていく一方だ。
目の前に最早存在するだけになった小説の内容なんて全然頭に入ってこない。
新一が不機嫌なのには理由がある。
さっきまで快斗は新一にくっついて、『新一vデートしよーv』だとか、『ちょっとで良いから構ってよー!』とか『ちょっとだけで良いからぎゅってしていい?』とか色々言いながら周りをうろちょろしていた。
ちなみに新一は順番に『嫌だ』、『メンドイ』、『却下』と全部冷たくあしらったのだが。
いつもなら横でイジイジいじけて、それでも新一の横で大人しーく新一が読書を終えるまで待っている。
其処で漸く意地っ張りな新一は『しょうがないから…』と言う建前を付けて、漸く構ってやれる訳なのだが…。
(別に俺が居なくなってコイツ幸せそうじゃねえか…)
信じられない事に、今自分は快斗が幸せそうに食している―――チョコレートアイスに妬いている。
自分でも余りにも馬鹿馬鹿しいとは思うのだが、事実なのだから始末が悪い。
(この『工藤新一』ともあろう男が…)
何と情けない。
何とみっともない。
嫉妬とか。
執着とか。
そんなみっともないモノは大嫌いで。
だからこそ、快斗への感情にもそんなモノ滲ませない様に日々努力(…)しているというのに……。
(アイスに妬いてるなんて……俺マジで重症;)
はぁ…と溜息が洩れる。
他人に妬くならともかく、無機物に妬くなんて…。
どう考えたってオカシイ。
「どしたの? 新一。その小説面白くない?」
溜息を吐いた新一の横で、快斗は首を傾げる。
まさか新一の溜息の原因が自分の食べているアイスだとは夢にも思っていないだろう。
「いや、別に」
「でも、推理小説読んでる時に溜息なんて珍しいね」
「………」
本当に、こういうところまでよく知られ過ぎていて困る。
きっと本気になれば新一の一挙手一投足にまでコイツは説明を付ける事が出来るだろう。
そう思うと決して悪い気はしないが、こういう時は少しばかり困ってしまう。
「新一? 何かあった?」
「別に何もねえよ」
ぶっきらぼうにそう言って、再度活字を目で追う。
内容こそ入って来ないが、ポーズだけでも取っていなければ快斗は何かを感じ取るだろう。
聡い彼の事だ。
いつ本当の原因に思い当るか分らない。
そんな事――意地でも避けたい。
「ふーん…」
それならまあいっか、なんて言って再度新一から意識をアイスに持っていってしまう快斗に……ちょと…、いや、かなりカチンときた。
いつもだったら、『どうしたの?』『大丈夫?』『どっか悪い…?』なんてもうちょっと心配してくれそうなもんなのに…。
工藤新一に推理小説。
黒羽快斗にチョコレートアイス。
そんな言葉が思い当って、何だかその締まらなさにがくっともする。
「まあ、新一は構ってくれないけど、アイスは美味しいし…」
「っ……」
言われた言葉が更に新一に追い打ちをかけて。
そりゃもう、頭の中で盛大にぶちっと何かが切れて。
新一は読んでいた本をパタンと閉じてソファーテーブルに置くと、にこーっと極上の笑みを浮かべて思いっきり快斗の腕を引っ張った。
「えっ!? し、しんいっ!」
「るせー。黙ってろ」
「何っ…! んっ………」
思いっきり快斗の身体を引き寄せた拍子に、べちゃっという音を立てて快斗の持っていたアイスが床に無残に落ちたのに満足して。
新一は自分を潰さない様に何とか両手をついて身体を支えた快斗の首に腕を絡めると頭を浮かせ、噛みつく様に快斗に口付けた。
驚いて目をぱちぱちさせたまま動けない快斗の咥内を思う存分蹂躙して、満足すると漸く唇を離した。
そんな新一の常にない行動に快斗は相変わらず驚いた顔のままで。
何だか満足そうな新一にことんと首を傾げた。
「……新一君。何でそんなに急に積極的に?」
「るせーよ。別に何でもねーの」
「何でもないって…ι」
訳が分らない。
『探偵』なんてやっていると人並みでは理解できない思考回路になるらしい。
なんて快斗が考えているのだろう事が新一には手に取る様にその表情から分って、クスッと小さく笑ってやった。
「いーだろ。お前は俺だけ見てりゃいーんだよ」
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