ミツカイ小話 ※ネタです…。すみません!
「銀狼、かっこいいですよねぇ」
暇だから、という理由でルフィア様に呼び出されたらしい俺は、今日は海辺の砂浜、というシチュエーションで砂の上のんびり座りつつ、なぜだかそんな話になった。
いや、だってさ、かっこいいじゃん!
「でしょう?あの家系は元々銀髪の者が多かったから、あの色で狼にしたら素敵だと思って、迷わず狼に決めたのよね!」
…なんといいますか、凄い勢いで決めましたって感じがするけども、まぁ、良かったね狼で…!
「…っていうか、あの体色って髪の色なんですか?」
確かにフェルは銀髪で、狼の時も同じ色だけど、髪の色が違ったら狼になる時も違う色になるって事?
「えぇ、そうよ。実際に、昔銀狼にはならない王もいたし」
なるほど。
「…じゃあ、俺がもし狼になれたら、黒い狼になるってことですよね?」
髪黒いし。
「そうね。…なぁに、ナガレ。狼になってみたいの?」
「なれるんですか!?」
そりゃ、なれるなら一度くらいはなってみたいよねー。だって、カッコイイし。あの姿で森の中駆け抜けられたら気持ち良いよねぇ、絶対。
「…そぉねぇ…、完全には無理だけど、これくらいなら…」
「…ッ…」
言葉と共に、なんとも説明のしがたい感覚に襲われた。ぞわ、と一瞬肌が粟立つような感じがして、直ぐに治まる。
「…な、なんですか、今の…」
「あら!似合うわナガレ!」
「…はい…?」
似合うって、何が…?
眉を寄せつつ聞こうとした途端、目を輝かせたルフィア様に言われて首を傾げた。
瞬間、なにやら頭に違和感を感じる。ついでに、尻の辺りにも…。
「うわぁ!な、なんですかコレ…!!」
尻尾、尻尾生えてるよ!っていうか、見えないけどもこの頭の上にあるものはまさか耳ですか!?
「狼の姿にするのは無理だけど、そのくらいなら出来るのよ?ナガレは髪が黒いから、尻尾と耳も黒いわね」
凄い上機嫌に言われましても…!!
俺は狼になってみたいと言ったのでありまして、こんな耳と尻尾だけ生やしたマニアックな姿になりたいなんて言っておりませんのですよ!!
あぁ、なんか言葉もおかしくなってきた。
「いいじゃないの、似合うんだから。…まぁ、一日くらいのものだから、楽しみなさい」
た、楽しむって何を!?
っていうか、一日ってなに!これ、目が覚めても生えてるってこと!?
「…ちょ、ルフィア様!?」
色々聞きたいことはあれど、ニコニコ笑顔のルフィア様は、さっさと消えていってしまう。
ど、どうしろと…!?



「う、うぅ…」
…自分の唸り声で目が覚めました…。
ああぁ、嫌な夢見た。
…っていうか、ただの夢だったら良かったんだけどね…!目が覚めて本当に終わるなら、嫌な夢でも夢万歳って感じだよ!!
間違いない、今の俺には耳と尻尾が生えてます…。
あー、悩んでも落ち込んでも仕方ない。一日このまま布団に潜ってるしかないよね、コレは。

と、開き直り。
イリィにも今日はベッドから出ないと宣言して。
…すごーく心配してくれたから、顔も見せないのはホント申し訳ないんだけども、仕方ない。
こんな姿見られるなんて一生の恥だからね…!!
そんなこんなで、寝室に一人篭っていたわけですが。
強敵がここに一人…。
「…ナガレ、皆も心配している。顔くらい見せてくれないか?」
「……無理」
イリィに聞いたフェルがやって来て、凄く心配そうに説得に当たって下さっております。
どうしたと聞かれても理由もいえず、とにかく出られない、と布団頭まで被って潜ってるのもそろそろ限界を感じて来ていたり…。
「…ナガレ…」
はぁ、と大きな溜息と共に呼ばれたと思ったら、ガバッと、布団剥がされた。
わあぁ、強硬手段に出ましたよこの人…!
「うわっ、…み、見るな…!!」
慌てて頭の耳を隠したところで尻尾は隠れず。
「……ナガレ…?…その、姿は…」
「だ、だから出たくないって言ったのに…っ」
呆然とした様子のフェルに、羞恥の余り涙目ですよ、俺…。
「…本物、なのか…?」
「…ひゃっ、に、握るな!」
信じられない様子で伸ばされた手に尻尾握られて、ある筈のない場所なのにどういう仕組みかしっかり感覚もあって、なにやら不思議な感覚に思わず変な声が出てしまったり。
「あぁ、悪かった。…それにしても、どうしたんだ?一体…」
「……ルフィア様の思いつきで…。…一日くらいで、元に戻るらしいけど…」
「…なるほど。…他の者には見られたくないのだろう?適当に言っておくから、今日は一日ここに篭っていると良い」
耳の生えた俺の頭撫でながら、優しく言ってくれる。
…いや、だから最初からそうしようと思ってたんだけど。っていうか、フェルにも見られたくなかったんだけど。

そして。
その日はなぜだかフェルも仕事を休み――王様なのに…――一日俺に付き合ってくださいました…。
なんだか、やけに楽しそうだったのは気のせいだと思いたい。
翌日耳も尻尾も綺麗になくなった俺を見て、少し残念そうだった気がするのはもっと気のせいだと思う…!




えー…すみません。
ちょっと魔術師と黒猫つながりで、他のキャラで耳と尻尾つけたらどうかしら~、と想像してまして。
流なら、ルフィア様の悪戯で済むかも!と思いついてやってしまいました。
ちょっと反省しております(笑)。



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