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乱司書前提tkd先生視点のお話と
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《特別な衣装で》

 不意に視線を逸らしたのに気付いて、乱歩はハテと首を傾げた。
「司書さん?」
 呼びかけてみれば、手元の書類を無意味に弄りながら司書が「なんですか?」と短く口にした。
 フム……と眉を寄せ考え込むうちに視界の端に鏡が入り込み、あぁそうかと乱歩は口許に笑みを浮かべた。
「司書さん」
 少し屈み司書の顔を覗き込むようにすれば、驚いたように両の目が見開かれる。
そして、その顔が耳まで赤く染まり、慌てたように逸らされた。
「これは似合いませんか?」
 そう問えば、ふるふると頭は横に振られる。
「では、どうしてアナタはワタクシを見てくださらないのです?」
 白い手袋に包まれた指先が頬をなぞり、赤く染まる耳を撫で擦り、勢いよく頭を振ったせいで少し解れた髪をかき上げた。
 小さく息を飲み身動いだ体を背に回した手で抱き寄せれば、司書は体を強張らせ上げかけた視線をすぐに床へとおとしてしまう。
「答えてくださらないのですか?」
「…………できません」
 掠れた声が零れ落ち、乱歩は目を瞬かせた。
「司書さん?」
「直視できませんっ!」
 呻くように言葉を吐き出して、司書はそのまま乱歩の胸に顔を埋めてしまう。
 不意に背を這うゾクリとした感覚に、アァ、これは……!と司書を両腕の中に閉じ込める。
「これから、アナタのためのドレスを探しにまいりませんか?」
 そう囁けば、え?と司書が顔を上げた。
 不思議そうな目で乱歩の顔を見つめるのは、年相応とは言えぬあどけない少女のような表情。
「そうして、ワタクシと一緒に踊りましょう」
 体を離し恭しく取った手に口付けを落とし、乱歩は目を細めウットリとした笑みを司書へと向けた。







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