さみしい男だ。 元親は、こちらに背を向けた政宗を見やり思った。 構って欲しい、愛してくれと、何故その饒舌な口から伝えられないのか。 しかしそんな不器用さがいとおしい。もっともっと甘やかしてやりたい。この思いは自身のどこから湧いてくるのだろう、検討もつかなかった。 考えても答えは出そうになかったので、元親は考えること自体を放棄する。思案は昔から嫌いではなかったが、気がつけば考えても考えてもきりがないことばかりに周りを囲まれるようになって些か飽いてきたのだ。それよりも、手を伸ばせば触れられるものを大切にしたくなった。 「政宗」 少しの躊躇いを見せながらゆっくりと振り向く仕草に、心臓が高鳴る。伏せられた左目がやがて遠慮がちに元親を捉えた。瞳にうっすらと水の膜が張っているように見えるのは気のせいだろうか。 阿呆だな、声を上げてみっともなく泣けばすっきりするのに。 おいで、と手招いても政宗には無意味だろう。素直に聞き入れられたことがない。だから元親は自ら近寄り、たくさんのものが密かに閉じ込められた胸へそっと額を押しつける。戸惑ったように、政宗の腕が宙を彷徨っているのが目の端に映った。 「元親…」 「うっせぇ。しばらく黙ってろ」 こうやって互いの温もりを求め合うのは決して難しいことではないんだ。いつか分かってくれたら、と元親は切実に思う。 そうでなければ、政宗はきっとずっと、さみしいままなのだ。悲しいことにずっとひとりぼっちで。 ありがとうございました!! |
|