私の日課。それは唯一美術部の私だけしか出来ないこと、だと思う。
美術部は部員が少なく、部室と言っても美術室しか使えない。でも、
ただ一つだけ、美術部には得点がある。私が見つけた、最高の・・・


日が少し傾いた。窓が開いている美術室には、外からは止むことの
ない声援や歓声が聞こえてくる。4階なのに・・・と思いながらも窓際
の席にいつも座っている私は外を見て顔を緩ませる。



「あ、」



思わず声が出た。だって・・・今絶対に目を合わせてしまったのだ。
最近、少し有名になってきた青学テニス部1年の越前リョーマくんと。
それは一瞬の出来事だったかもしれない。でも私には何十分のよう
な感覚が流れた。


試合途中だったのか、帽子を被り直すと何も無かったかのようにラケ
ットを構える。そして先輩相手に次々と技を決め、数分で終わらせて
しまった。リョーマくんが打ったボール一つ一つに魅了されて、目が
離せなかった。


不意にリョーマくんが此方を向いた。遠くても、分かった。しっかりとそ
の瞳には私が写っていることを。自惚れかも知れない、でもそう信じた。
先程よりも本当に長く見詰め合って、ふと気が付いたのは彼が綺麗に
頬笑んでいたこと。そして―――――



「ありがとう」そう、口が模っていたこと。



何のことか最初は分からなかったけど、自分はリョーマくんの為にでき
る事があったんだと考え、頬笑み返す。と、何に呆れたのか溜息を吐い
て、歩いて行ってしまった。



「?」



うーん・・・男の子は分からないなぁ。



















(こんなので良かったのかな・・・)  (あ、さっきのどゆことか今度聞いてみよう) 



















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