白の交差点〜その6

毎度お馴染み、お久しぶりの白の空間。

ぽつんと浮かんだ人影は、四角い箱の前に座って、なにやら熱心に箱から延びるコード

の先のナニカをかちゃかちゃ鳴らすソロの姿だった。

「何をやって居るのだ‥?」

彼の背後にそっと立った銀髪美丈夫が訝しげに声をかける。

「モンパレ。」

箱が映し出す何やら賑やかな画面を見つめたまま、ソロが短く返した。

「モンパレ?」

「うん。『ピサロが仲間になって面白いから、やって見る?』って聴かれてさ‥あっ、

 褒めないと!」

画面に目をやったままのソロが、かちゃかちゃと手に握ったドーム型の道具を操作する。

ピサロが彼の視線の先にある賑やかな画面へと目を移すと、自分の姿とよく似た動く

絵がぴょこんと跳ねた。

[♪]‥と謎の印がソレから飛び出す。

「こっちのピサロは素直だなあ‥♪」

それを見ながらソロがニコニコ呟いた。

「‥先程から気になって居るのだが。

 ソレと私が同じ名前なのは何故だ?」

名前もだが、姿格好もまた自身に似ているような気がして。妙に落ち着かないピサロが

呻いた。

「だってこれ、ピサロがモデルなんだもん。似てて当たり前だよ。」

何やら画面が切り替わった所で、やっと振り返ったソロがにんまり答えた。

「私がモデル‥?」

「うん。このゲーム貸してくれた声がね、そう話してた。」

「声‥?」

「うん。『ピサロで遊べるゲームがあるんだけど‥』って。馬車に乗った主人公がね、

 モンスター仲間にして敵のモンスター倒して冒険するゲームなんだって、これ。

 でね、最近ピサロを仲間にしたから、オレに遊んでみないか‥って。」

「ちょっと待て。モンスターを仲間にする? 私はモンスター扱いなのか?」

色々突っ込みたい所だらけだったが、ピサロは一番腑に落ちない箇所を問いただした。

「あ~うん。モンスター枠だってさ。ほら‥」

言って、ソロが何やら画面をパパッと切り替えた。

そこでは見覚えのある魔物が暢気そうにくつろいでいる。

「仲間にしたモンスターの休憩所だってさ。ほら‥ピサロもいるじゃん。」

先程の自分に似た絵が動いているのを指して、ソロが「ほらね」と笑う。

その絵の男は、やけにカラフルなスライムに囲まれて腰を落とすと一緒に眠り始めた。

「可愛いよねえ、この中のピサロは。」

ふふふ‥と和んだ画面を眺めながら、ソロがほわんと笑んだ。

「こうするとね‥摘んで移動もさせられるんだよ♪」

白い手袋が彼の頭上まで移動すると、むんずとつまみ上げられ、ふわふわ画面を左右に

移動する。

ソロは楽しそうだが、自分に似せたという彼が玩具にされていると、妙に居心地悪い。

苦々しく画面を眺めていると、ソロが楽しそうに話を続けた。

「でね、さっきみたいに馬車で移動してモンスターと戦いながら強くするみたいなんだ

 けど。更に強くする方法ってのがあってね、それが配合‥っていうんだって。」

「配合‥?」

「うん。同じ種族同士で配合すると、子孫残すんだって。ピサロの場合は、ピサロか

 タマゴロンってモンスターと配合だって。

 タマゴロンと配合したら、ピサロが卵産むのかな?」

「何故私が卵を産まねばならんのだ?」

辛抱強く憤りを堪えて、ピサロが努めて平静に返した。

「だってこのピサロ、雌だって。メスピサロなんだ。」 

どお~ん!!!!

何やら衝撃音が響いたと思うと、次の間には四角い箱が粉みじんに吹き飛んでいた。

「あ‥あ~あ。まだ遊んでみたかったのに。酷いなあ‥」

「ふっふっふ‥酷いか? そーか、酷いか。ならば吹き飛んだゲームのピサロとやらの

 代わりに、私とソロが配合し子孫残すとしようではないか‥!」

いつになく目が座った魔王様が、ソロににじり寄って肩をがしっと掴んだ。

「えっ‥うわっ‥‥っ、ピサロ??」



子孫を残す配合=性交



言葉の意味に気づいたのは、ソロがこれ以上ない程たっぷりと、魔王様に頂かれた

後だった――――



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