「ばっか、お前熱あんなら言えよ!」 「熱?」 どーりで、だるいわけだ。 「ほら、寝てろよ」 仕事が忙しかった。 風呂に入ったまま寝て 髪も乾かさずに上裸で爆睡。 そりゃ風邪も引くか。 「熱、ちょっと高ぇな」 少し心配そうに聞こえるのは、きっと気のせいじゃないはずだ。 いつもは釣り上がってるこいつの眉毛が、心なしか下がってる気がした。 「とりあえず、何か食うもん作るから」 薬飲めねぇだろ、とつぶやき立ち去ろうとして、ポンポンと無意識だろう布団を優しく叩いた手を、引っ張ってみた。 ―ポス 簡単に身体はこっちに倒れて来て、腕の中に収まった。 「っ、にすんだ、コラ!」 仕事はまだ山のように残っている。 確かこいつも今日は学校だ。 わかってるけど、 ちょっとつかれたんだ。 「頼むよ、」 「?」 「ここにいろ」 沈んでいく意識の隅に、大人しくなった塊の赤い耳を見て、安心して眠りについた。 |
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