愛おしくて
大好きで
愛してやまない


★慶半


今年の夏は暑かった。
もう蝉も鳴かなくなった。

短い命

そんなもの悲しいじゃないか。
寂しいじゃないか。
悔しいじゃないか。

なのに蝉は力いっぱい鳴く。
それが僕は嫌いだ。


今の時代を象徴しているみたい。
戦国、そういわれる今を。
死にたくないと、そう死を目の前にした
人間のようだ。

だから夏は嫌い。
うるさい、全てが。


秋は静かで、心地がいい。
紅葉も綺麗。



「…?半兵衛?」
「…君は、」

見覚えのある顔。
しかし油断など出来ない。

「ここは、豊臣の敷地内だ」
「分かってるよ」
「じゃあ何しにきたの。殺すよ」
「冗談」
「本気」
「せっかく半兵衛に逢いに来たのに」
「僕は君が嫌いだ」

「蝉がさ、もういなくなったよね」

「…は?」
「蝉だよ。半兵衛、昔、俺に話してくれたでしょ?」
「…」
「蝉が嫌いだって」
「…」
「俺はね蝉は死にたいって鳴いてるんじゃないと思う」
「何、それ」
「幸せになろうとがんばってるんだよ」
「…」
「一緒に幸せになる相手を探すために声かけてるんだよ」



「…帰って」
「はんべ、」
「帰って!ここは豊臣の敷地内。君は豊臣の人間じゃない!早く帰って!!」
「…わかったよ、でも、半兵衛」


もっと前向きに物事を考えることも大切だよ。
さっき、泣きそうな顔してた。
つらくなったらいつでも、俺はまってる。









僕は、君が嫌いなんだ。






















…優しい君が
大嫌いだ。





まるで蝉は僕のようだ。








END.




拍手ありがとうございました!
しんみりでごめんなさい;;
久々慶半。なんか変な感じ…
コメいただけるとやる気でます!笑


この後はオリジナル短編です。



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