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只今のお礼文→1本

「二人の藤堂」設定/最終話

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これにて終幕 ※「二人の藤堂」設定


「何故お前がここにいる?」
「お前こそ、さっさと過去に戻ったらどうだ?」
バチバチと飛ぶ火花に、過去組と千葉は溜息をついた。
「中佐。将軍は大使としてブリタニアに滞在すると連絡が来ていたじゃないですか」
「将軍。彼らは過去に繋がるCの世界とやらで帰らないと決めたと言っていたじゃないですか」
凪沙と千葉は呆れたように上司を宥めた。
それでも、気に入らないと睨みあう二人に一同はいつものことだと放っておくことを決意し、各自仕事に戻る。
鏡志朗と藤堂は顔を合わせるたび同じようなやり取りをしているのだ。
「軍人が大使?笑わせる」
「神楽耶様が決断なさったことにケチをつけるのか?」
「どうせ、お前が脅してなったんだろう」
「ただ申し出ただけだ、脅してなどいない。それに、あの方が脅しに屈するような方だと思っているのか?」
ああ言えばこう言う。
過去か現在かの違いで、同一人物であることには変わりない二人は思考回路も殆ど同じで、相手が次にどう言うのか手に取るようにわかった。
わかったが、言わずにはいれないのが人の性だ。
因みに、藤堂は脅していないと否定しているが、後日こっそり巧雪が神楽耶に尋ねたところ、言葉などより雄弁なあのギラギラとした目で見られては、恐ろしくて断れなかったとの証言が取れたのは余談である。
「お前たち、またやってるのか…」
「「ルルーシュ君」」
はもった声に二人は再び互いを睨む。
そのことにルルーシュははぁと溜息を吐いて二人を見た。
「見つめあっていないで仕事をしろ」
「「見つめあってなどいない!」」
「はいはい。わかったから、さっさと仕事に戻れ。終わったら皆でお茶にしよう」
そう言われて二人は同時に頷くと、カツカツと同じテンポで足を進め、真逆の方向に去って行った。
仕事が終わるタイミングも同じだというのだから、流石としか言いようがない。
凪沙と千葉は仲が悪いわけでもなく、仕事の早さもばらばらだというのに、何であいつらはあそこまでそっくりなんだ…と思いながらも、そんな二人や周りの者たちと過ごす時間を好いているルルーシュはくすりと笑って、自分も仕事を終わらせるべく執務室へと歩き出した。


『ゼロレクイエム』と呼ばれる革命が起こったのは1年ほど前の話。
革命を起こしたのは他でもない皇帝自身だというのだからおかしなものだ。
シュナイゼル率いる黒の騎士団とブリタニア皇帝ルルーシュ率いるブリタニア軍がぶつかったその戦いはルルーシュがシュナイゼルを下し、ダモクレスを掌握したことにおり幕を下ろした。
皇位争いに超合衆国所属の黒の騎士団が参加した理由は不鮮明にされているが、代表たちを人質にされたと思い込んだことによる暴走だと世間では思われている。
その代表たちはといえば、鏡志朗に事情を聞いた神楽耶によりルルーシュには超合衆国に対する敵意はないことを説明し、説得したことによって、"捕獲された"から"保護された"と認識を改め、アヴァロンから声明を出し、自国の解体した軍から団員たちに戦闘をやめるよう命令した。
扇たちゼロ=ルルーシュと知っている者はともかく、殆ど何も説明されていない各国の元軍人たちは元よりこの戦いに疑問を抱いていたためあっさりと戦闘をやめた。
統合幕僚長である藤堂が戦場を離脱した後、いち早くルルーシュ側に下ったのも大きく、殆どの者は早々降参の意を示した。
最後まで悪あがきをしたのは扇を中心とした数名。
カレンとジノは機体の損傷が激しく戦うどころではなく、また、ジノはともかくルルーシュに負い目を感じていたカレンは投降を呼びかけられ、あっさりと承諾した。
洗脳のように扇たちに「カレンはあいつに騙されてるんだ」を言われ続け、そう思って敵対していたが、心のどこかで矛盾を感じていたのだ…己の知るルルーシュと扇たちが言うルルーシュに。
ルルーシュのことを何も知らない扇たちの言葉を鵜呑みにするほど、カレンがルルーシュと共に過ごした時間は短くない。
ゼロと知らぬ時もルルーシュ・ランペルージと接し、再会してからは弱った姿すら見ている。
どちらが真実に近いかなど考えずともわかること…
ジノもスザクに説得され、渋々投降した。
投降しなかった者たちは出さずともよかった犠牲を出した戦犯として終身刑が決まっている。
フレイヤを持ち込んだシュナイゼルや撃ったナナリーを罪に問わないための犠牲であり(といっても二人+αについては皇位争い扱いで、先代皇帝が継承権を持つ者同士で争うのを良しとしていたため、普通の法でもそれほど刑は重いものではなかったが)、最初ルルーシュは難色を示したが、「数年経ったら理由つけて放免にしてやればいい」と周りに説得され、普通の囚人より多少処遇を優遇して捕えられた。
"内戦に巻き込まれた"と公式記録ではなっている超合衆国に関しては、シュナイゼル(ブリタニアの第二皇位継承権をもっていた第二皇子で宰相である、蓄えは腐るほどある)のポケットマネーから慰謝料のようなものが各国に支払われた。
といっても、その内戦が拡大したのは黒の騎士団の暴走が原因といっても過言ではなく、超合衆国もブリタニア相手に大きく出れなかったため、どう感じるかはともかく、それで丸く収まった。
その後、世界統一を果たしたルルーシュはエリアではなかった国は早々解放し、エリアもナンバーが大きい順(つまり、新しくエリアになった順番)でなるべく早く国として独立できるよう援助し、解放していった。
ルルーシュにそのまま支配されていたかったとエリアの人間が思うほど、見事な手腕で混乱を収めていき、つい先日、エリア数が一桁になったところだ。
支配されている年数が長いエリアは独立が難しく、一部のエリアでは国民から嘆願があり、そのまま属国とさせてほしいとブリタニアに申し出る国が出てきたくらいである。
それほど、ルルーシュは愛されていた。


「邪魔だ、どけ」
「お前こそどけ。そこの席は俺が座る」
「いや、俺だ」
「…藤堂、鏡志朗、いい加減学習しろ。両側に座ればいいだろ」
「「君がそう言うなら」」
「ふふ…お兄様ったら愛されてますね」
「あっはー、僕も隣に座りたかったんだけどな~」
「「何?!」」
「あはは…じょ、冗談だよぉ~。あー、陛下の作ったチーズタルトおいしいなぁ~」
「お前も学習しないな、プリン伯爵」
「オレンジ卿だってホントは陛下の隣に座りたいくせに~」
「なっ…」
「「そうなのか?」」
「う…少しでも、忠義を誓う方の近くにいたいと思うのは仕方なかろう」
「「(本当に忠誠心からの言葉だろうか…)」」
「あはは、なんか藤堂さんと将軍が考えてること読めるなぁ…」
「それは我らでも読めるぞ」
「そうそ。いっつも、おんなじこと繰り返してんだからわかんねぇわけねぇだろ」
「(僕だって兄さんの隣に座りたいのに)」
「ロロ様、今は我慢ですよ。後ほどルルーシュ様に内密にお会いすればよろしいではないですか」
「そうよ、ロロ君」
「彼なら仕事の合間でも時間を作ってくれると思うぞ」
「僕も隣に座りたかったなぁ…」
「「いつもルルーシュ君の傍に控えてる人間が贅沢言うな」」
「一緒にいるといっても接触も会話もないですけど…」
「「それだけでも十分だろう。ルルーシュ君、スザク君にも書類処理を…」」
「こいつに任せたら数分で終わるものが何時間もかかってしまう。よって、効率が悪いから却下だ」
「「くっ……」」


「こうしてルルーシュたちは毎日騒がしいが楽しい日々を送りましたとさ。めでたし、めでたし」
「「こいつがいる限りめでたくない!」」
「うるさいぞ、そこの二人!!」





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大変遅くなりました。
これにて完結とさせていただきます。




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