「こんにちは、僕。家政婦の紹介で来ましたガイといいます」

ボーイッシュを地でいく、短い金色の髪。女と判別できたのは、母上よりもずっと大きな胸のせいだった。動きやすそうなぴたりとしたパンツに半そでのシャツ。上着は脱いで片手にぶら下げられている。合格点というやつだ。

「ファブレ夫妻はどちらに?」
「両親はいない。弟もだ」
「そっか、君がアッシュだな。よろしく!」

犯罪に触れなければなんでもする、家政婦機関だという。なんでもと歌う口振りであるとか、その技量の程だとか、父は雇うことには反対していた。けれど弟は馬鹿で粗暴という残念な性質を有していて、並みのハウスキーパーでは保たない。母の勧めもあってお試し期間でその見極めをしようと、何故か俺一人が残された。まあいい、もうすぐ小学校に上がる身の上として、適当に試してやろう。

「胸のサイズは?」
「え?」
「胸のサイズを聞いている」
「えと、……カップ」

耳元でひそりと囁かれた声に、つい感嘆を洩らす。なるほど母上とは違うわけだ。

「触る」
「なっ!?」

むぎゅ、と弾力のある胸を触る。俺の手では僅かな部分しか覆えず、手のひらで揉み込むとガイは震えた。

「どうだ、気持ちいいか」
「いや、あの」

ガイは真っ赤になって、肩を震わせ。……笑っていた。

「どう頑張ってもくすぐったい!」

父にコイツを雇わせて、酷い目に合わせてやるよう報告をしようと思う。



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