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お礼文は突発的に書きたくなりました大谷さん激・短編です(単なる史実?)













遠い日の思い出。

時の権力者が開いた賢覧豪華な茶会の中で不治の病を患った男が点てた茶。
病に罹る事を恐れ、それを飲もうとする者はいない。
誰もが気まずい空気が漂う中、動いたのは普段横柄者と呼ばれる男。
皆が目を丸くし凝視した。

だが、一番驚いたのは茶を点てた病の男。

誰も飲むはずが無いと思いつつも、主の命には逆らえず参加した茶会。
それなのに・・・・。

男は美しい作法で茶をのどに流し込むと、珍しくいつも浮かべる様な皮肉の笑みではなく穏やかな笑みを浮かべて言った。

「結構なお手前で」

空になった茶碗にヒラリと桜の花びらが舞い降りた。








時は過ぎ、天下分け目の関ヶ原。
今、一つの部隊が壊滅の危機に瀕していた。

予測していた若武者の裏切り。
それだけならば何の問題も無かった。
だがその裏切りが裏切りの連鎖を生んでしまった。

一挙に押し寄せる軍勢。

四面楚歌の防戦。

多勢に無勢。



ここまで、か・・・。





「覚えておいてくれ、佐吉。私は豊臣の事を思い、徳川との関わりを深くしていた。そんな私が西軍に着くのは豊臣のためではないよ。佐吉のためだよ。だって、私の一番の親友は君だからね」


あの時の君の驚いたような照れたような顔は何回思い出しても笑いが込み上げてくる。




あの日、君は私の点てた茶を飲んでくれた。
命を張って私との友情を証明してくれた。
だから今度は私が命を賭けた。
ただそれだけの事。

この戦に君が練った策。
それが画餅でも構わなかった。

目は見えず、自由に体も動かせず、皮膚は崩れ落ちてくる。
こんな体になった私を頼ってくれたことが何より嬉しかったから。

あぁ、佐吉・・・。
来世でもまた会おう。
戦の無い世で、また友情を育もう・・・。


契りあれば 六つの衢に 待てしばし 遅れ先だつ ことはありとも












三成はお茶と絡んでこそ三成だと思います。




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