拍手をありがとうございます! いつも励まされていますv いつもにも増して変なお礼でごめんなさい! 『 ある特務師団長のひ・み・つ☆ 』 ※無自覚女王系。つまり本人にその気は無いが限り無く受けっぽいアッシュ。(…ゴメン) そのいち 『屑』のひみつ 『ルーク・フォン・ファブレ』は、実は幼少時から生真面目で素直だった。 どれだけ素直かというと、「国のために人体実験されろ」という言いつけに黙って従ってしまうくらいである。 それはうっかり騙されてダアトに誘拐されてきてからも変わりなかった。 軍隊教育というものは『上官の命令は絶対』というところから始まる。 「口答えをするな! 返事はYes、それだけだ!」というやつである。 たいがい鬼教官というものがいて、新兵をボロクソに叩きのめし、 人間の尊厳とか個人の自意識なんかを粉砕して立派な兵器に仕立て上げるのだ。 戦場で恐怖のあまりパニックにならないように。 悲惨な状況に精神を病まないように。 感情を麻痺させてどんな状況でも敵に立ち向かえるように。 敵に勝利して、生き残る確率が高くなるように。 まあそんなわけで『アッシュ』となったルーク・フォン・ファブレにも鬼教官がついた。 ありとあらゆる年齢、職業、地位をもっていた新兵どもと一緒にボッコボコにしごかれた。 一日目にしてアッシュは自分の常識が粉々に打ち砕かれるのを感じた。 なにしろ、教官が何を言っているのか半分も分からないのだ。 ファブレと言ったらキムラスカ有数の貴族である。当たり前に上品なのである。 「てめぇら、尻に殻付けたひよっこども! もたもたすんな、素振り二百回だ! さっさと起きやがれ、いつまでマスかいてるつもりだ! 上官の命令は絶対だ、ここではてめぇらは便所紙以下だ! わかったか、この屑ども!」 とてもここではこれ以上書けない下品な罵詈雑言が豊富に飛び交う命令にカルチャーショックを受けたアッシュは、 生来の生真面目さでもって言語の理解と習得に努めた。 (上官の命令は絶対。…そうか、部下になめられないように目下の者には高圧的に接しなければならないのだな! そしてこの『兵士語』をマスターしないと軽んじられてしまうのか!) いやちょっと待て、それ違うから。その教官、ダアトでも有数の口の悪さだから。 ・・・などと教えてやる者がいるわけもなく、アッシュの華麗な勘違いは修正されることは無かった。 ちなみにこの教官、いかにも『上品なお貴族様』な外見のアッシュを嫌っていた。 アッシュに目を付け、何かというと厳しいしごきを加えていた。 しかしアッシュはこの教官が嫌いではなかった。アッシュの認識では『自分に目を掛けて稽古をつけてくれる人』だった。 人に構われることに飢えていたせいである。 誤解とは時に幸せなものだ。 叩きのめして気絶寸前のアッシュに嘲笑いながら言った 「どうだ悔しいか? 俺に上品な言葉を使わせたかったら俺より偉くなるんだな!」 の言葉は、アッシュにとっては「俺を部下に出来るくらい早く強くなれ」という激励の言葉だった。 生真面目さでもって弛まぬ努力を重ねたアッシュは強くなった。 15歳で特務師団を任されるくらいに。 (俺もいよいよ部下を持つのか… 教官、貴方の教えを胸に、俺はきっとやり遂げて見せる!) ちょっとドキドキしているアッシュは、眉間にぐっと力を込め、居並ぶ部下に向かって精一杯胸を張って怒鳴った。 「今日から俺が特務師団長だ! 俺に従え、この屑ども!」 訳→(今日から特務師団を任されることになったアッシュだ、宜しく頼む) 特務師団員達は、ぽか〜んとなった。 一五歳で師団長であるラルゴから一本取った精鋭が師団長になると聞いて、どんな猛者がやってくるのかと興味深々だったのが、 やってきたのはクールビューティーの子猫ちゃんだ。 マッチョな特務師団員達に混ざるとまさに紅一点。比喩でも何でもない。 しかもこの子猫、めっぽう口が悪い。手も早い。 何というか残念なことに、その時特務師団にはM属性の奴がそろっていた。(残りの少数派はドSだった) おまけに件の鬼教官にしごかれて罵声慣れしているやつがほとんどだった。 そしてM男と言うものは、ゴリラマッチョの鬼教官に怒鳴られるより女王様系のクールビューティーに罵られる方を好むものだ。 つまり、アッシュの罵声にムカッ! とするよりムラッ☆ としたのだった。 (ああ・・・v 師団長、俺達をもっと罵ってくださいv 何処までも貴方に付いていきます! ハァハァ) 団員達の心が一つになった瞬間だった。 とてもイヤな師団だ。 ・・・・・・そんなわけで、アッシュの口の悪さは正される事は無かった。 アッシュの兵士語講座 「何してやがるこの屑! 役立たずはさっさと消えろ!」 訳→(具合悪いなら早く帰って休め。無理するな) 「フン、屑にしてはまあまあじゃねぇか」 訳→(難しい任務を良くやり遂げてくれた。感謝する) |
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