オレはきっと何か気付かないうちに間違いをおかしたんだ。


うん、そうに違いない。


いや、そうじゃなくったってそうだと全力で認めて見せるから。


だから・・・。



「おらぁっ!!!今日こそは覚悟しろよっフユキ!!!」



「うっさい、だまれ、この駄犬が。」



「んだと!?痛い目見ねーと分かんねーみたいだな!?」



「・・・お前がな?」




この状況をどうにかしてくれ神様!!!!!!



何でこんなことになったんだ?



オレはただ、入学式の会場に行こうと思ったわけで。



確かに今日から始まる新しい生活にうきうきうつつを抜かしてたのは認めるよ。



認めるけども!!



気付いたら体育館から遠ざかるどころか、こんな因縁の対決みたいな場面に出くわすなんて!



ってか金髪も眼鏡もオレを挟んでにらみ合うのは止めてくれ!!!!!



何?二人ともオレが見えてないわけ?



そりゃ確かにオレは高校1年男子にしちゃちょっと平均より背は低いかもしれないけど・・・。



・・・・・いや、認めるよ、認めるって、オレは確かにかなり平均より背は低いですぅー。



今から成長するから良いんだよ・・・・。



でもだからって、オレをガン無視してこんな一触即発の空気を作り出さなくったって良いじゃんか!!!







「・・・きみ、だいじょうぶ?」




「ほえ?」



小さな声に振り向くとカクリと首をかしげてオレを見つめているパーマの男が一人。



ネクタイの色がオレと同じってことは新入生か。



「ねぇ、きみ、なんでこんなとこにいるの?乱入?」



「いや、あの、できればそれだけはしたくないんだけど。」



「じゃあなんで?」



こいつはこの状況が見えてないんだろうか。



つーかよくこの空気の中マイペースにしゃべってられるな・・・。




「何でと言われたら・・・・巻き込まれたとしか言いようがないけど・・・。」



「ふーん、じゃあ、助けてほしいってこと?」



「あ、うん。そうしてもらえると助かる。」



オレもいつの間にかこいつのペースに乗せられてるし。



さっきまでの緊張がするりとほどけたみたいだ。



そうこう考えてるうちにパーマがふっと表情を変え、オレを挟んでにらみ合ってる二人を見た。



「なつ、ふゆ。」



名前らしきものを呼ばれ、二人がいっぺんに振り向いた。



「あぁ?」



「なんだ?」



「まわりのひとにめいわくをかけちゃいけません。」



・・・・・・あまりにも場違いなセリフに皆が唖然とした、と思う。



誰も何も言えずにフリーズした。



「・・・・ん?あ、お前だれ?」



一番に復活したらしい金髪が初めて俺に気がついたとでも言うように言う。



「あははは・・えっと、あの・。」



苦笑いするしかないオレに今度は眼鏡がずいっと近づいてきた。



「・・・小さくて見えなかったな。」



自分で認めてるとは言え・・・ここまでスパッと言われるとそれはそれで傷つくぜ・・・。



「ふゆ、だめ。」


ぎゅ、とパーマに抱き寄せられて、すっぽりと腕の中におさまるオレ。



あぁ・・なんかもう、せつないを通り越して良く分からない・・・。



「あぁ、気にしてたか、悪いな。」



「あ・・いや・・・あはは・・・。」



「ところで、何でアキがここに居るんだよ。」



パーマが相変わらずオレを抱きしめたまま、あ、と小さくもらす。



「にゅうがくしき・・・ふたり来ないから・・・」



「・・・・そういえば、今日は入学式だったな。駄犬のせいで忘れてたが。」



「なんだと!?てめーの記憶力の悪さを俺のせいにすんじゃねーよ!」



「昨日、まちあわせ、って言ったのに。ひどい。」



・・・これ、デジャブ?



オレ、また存在消されてない?



「わーるかったって、そんな顔すんなよアキ。今からでも間に合うか?」



「・・・・間に合うはずがないだろう、さっきチャイムが鳴った。」



「聞こえてたんなら言えよ!ばか!!」



「にゅうがくしき・・・。」



もしかしなくても、俺の存在皆無。



しかも未だパーマの腕の中・・・つーかさっきからちょっと・・・。



「あーもう、今から行ったって逆に目立つだけだぜ。」



「いっそのことサボるか。」



「お前は見た目は優等生のくせして、ほんっと行動は不良だな。」



「金髪がり勉のお前に言われたくないな。」



「あ・・・どうしよう。」



「ん、どしたアキ。」



「しめすぎた。」



・・・・オレノイシキフェードアウト



「っわぁぁぁぁぁっ!!おい、お前、生き返れ!目を覚ませ!」



「あれほど小さいものには加減しろっていつもいってるだろう、アキ。」



「ごめんなさい・・。」



「んな呑気なこと言ってる場合か!!バカ野郎ども!!おい、聞こえるか?おいっ!」




意識の外でかすかに聞こえる声。



あぁ、ほんとうにオレはいったいどこで間違いをおかしてたんだろう・・。



神様、おねがいだから、目が覚めたらもういちど入学式からやり直させてください。



もう背が伸びますようになんて・・・願わない、か・・・ら・・・・・。



「あ、おちた。」



「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」



「うるさいぞ、ナツ。というか、こいつ結局誰なんだ?」










名前わからないからとりあえずポチで良いよね?











拍手ありがとうございました!


お題は『特技は匍匐前進です』さまよりお借りしました。
http://tumbler2dokidoki.ie-yasu.com/


つづきます。





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