【物思う秋】


 君が歩く度に、足元の落ち葉がかさかさと音を立てる。

 まるで僕達の会話を邪魔するかの様に。

 ひらりひらりと舞い落ちる落ち葉の中、踊るように軽やかに歩く君は

 そんな事を思う僕の気持ちなんか、きっと知った事ではないんだろうね。




 ひらりひらり



 かさかさかさ





 少し冷たくなった風の中

 君の髪に落ちた悪戯な落ち葉。



 それを取ってあげようと、僕が手を伸ばした時

 まるで、触れられるのを拒む様に

 君は振り返る。



「どうかしましたか、セイラン様?」




「ああ…………なんでもないよ」

 虚空を掴む指を何でもない顔で戻して僕は云う。




 はらりはらりと落ち葉が舞う。




 落ち葉が落ちる音しか聞こえなくなった僕の耳に

 いきなり聞こえてきた、その言葉。

 

「あの……セイラン様…………手、繋いでも良いですか?」

 

 言葉の意味を僕の脳が理解するまでの数秒。

 うっすらと頬を染める君がそこにいた。



 おずおずと差し出された手に

 僕が自分の手を重ねるまで、更に数秒




「君には敵わないよ、本当に」



 誰かと手を繋ぐ事が

 こんなに嬉しくて気持ちが温かくなる事だったなんて。




「大好きな人とは、手を繋ぎたくなるんですよ。こんな風に、落ち葉が舞う日は特にね」




 どうして? と問うと、くすりと笑って君は答える




「淋しがりやな誰かさんが、落ち葉を見て淋しくなっちゃうから……ですよ」





 ああ、本当に

 君には敵わないよ。



 ああ、そうだね。


 淋しくなったら…………



 手を繋いでくれるかい?




【終わり】



拍手、ありがとうございます。

秋は淋しくなるよね〜と云うお話でした。

淋しがりなセイラン像と云うのは、自分では結構ツボなのですが……いざ書いてみるとテレますね。

お相手は皆様のお好きなヒロインちゃんでお読みくださいませ。
淋しがりやなセイランを甘やかしてくださいね〜!


ではでは、本当に拍手ありがとうございました。




何か一言メッセージがあればお願いします。

あと1000文字。