どうもありがとうございました。
暖かい拍手、いつも嬉しく思っています。 感謝の気持ちを込めて拍手ssを書いてみました。 今月は七条臣の誕生月なので理事長和希+七条(BL学園1年生設定)ssにしました。 ~いつか作り物でない笑顔を見せて欲しい~ 「七条です」 理事長室の扉をノックして名前を名乗ると中から入室を許可する声が聞こえたので、七条は扉を開けて中に入った。 「お呼びだとお聞きしたのですが」 「ああ。忙しいのに呼び出して悪かったね」 口では悪いと言いながらも、その顔は悪いとは思っていない和希を見て七条は内心ムッとしていた。 そんな七条様子には構わず和希は話し出した。 「今日来てもらったのは君に渡したい物があったからなんだ」 「僕にですか?」 不思議そうな顔をする七条に和希は机の端に置いてあった箱を差し出した。 「お誕生日おめでとう、七条くん。これは誕生日プレゼントのケーキだよ」 七条は黙って和希が差し出した箱を見ていた。 箱に記載されている名前は有名なケーキ店だった。 「どうしたんだい?確か君は甘い物が好きたろう?」 「はい。好きですが…」 言葉を濁した七条を見て和希は微笑んだ。 「君が私を嫌っている事は知っている。だから私からもらったものを食べるのは嫌かもしれないね。捨てるのは君の自由だが、私の目に触れない場所…そうだな、学園か寮に戻ってから処分してくれて構わないからね」 「そんな事しません!食べ物には罪はありません!」 いきなり大声で否定した七条を見て和希は少し驚いた顔をしたが、その後フワリと笑った。 「七条くん、君は本当にいい子だね。そんなに必死になって言わなくていいのに。だが、本当に嫌なら無理をする事はないんだよ。それにこう見えても私は七条くんや西園寺くんには感謝しているんだよ」 「感謝…ですか?」 「ああ。円満とは言えないが、君たちのおかげで学生会と理事会は何とか保っている。まだ、15歳の君たちには荷が重かっただろうに、本当によく頑張ってくれた。これからも頼むよ」 「はい」 和希からの心からの声は七条に届いたようで、七条は笑顔で答えた。 だが、和希は知っていた。 七条の笑顔は決して納得しているわけではないという事を。 七条は決して不満を顔に表さず、いつも微笑んでいるのだ。 そうさせた原因の一端を背負っているのは自分だと和希は解っていた。 「これで用件は終わりだ。七条くん、この1年が君にとって実りある年になる事を願っているよ」 「理事長からの直々のお言葉、ありがとうございます」 七条は頭を下げるとケーキ箱を持って理事長室から出て行った。 後に残った和希はため息を付いた。 顔は笑っていても目が笑っていない七条を見るのが辛かった。 七条には恨まれても当然の事をしてきたのだから仕方がないと思っているが、自校の生徒だからこそもう少し打ち解けて欲しいと思っていた。 それがどれ程虫のよい話か解ってはいるのだが… 「いつか西園寺くんのように心からの笑顔を見せてくれる日がくるといいな…」 和希はそう呟くと仕事を再開するのでした。 |
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