それはとある平日の事である。珍しくテストの日が重なった武蔵野第一と西浦。テスト一週間前から部活動停止。
こりゃーもうやる事は一つ。
三橋に会いに行こう。
思い立ったが吉日生活の俺・榛名元希は現在一番のお気に入りの三橋廉がいる西浦へその長い足を向けた。
「なんだぁ?」
三橋にメールをしてもなかなか返って来なかったので電車とバスを乗り継ぎ、ほぼ無断で西浦まで来た。うん、其処まではいい(良い訳ない)
だが、目の前の光景に納得がいかない。
恋愛狂想曲。
さすがにテスト休みなだけあって西浦も人が次々と帰っていく中、校門の前で伏せた頭は風が吹く度に柔らかな栗毛が靡いていた。
普段なら其れだけで上機嫌になる姿だが、どうにもこうにも明らかに付属品が邪魔だ。
未だに榛名に気付かない三橋と違って、その隣に陣取っている(と言うか三橋の肩に手を回して何やら話し込んでいる)奴が榛名に気付くと同時にニヤッと笑った。
いつの間にやらその三橋まで三メートル地点に来ていたことも忘れて思わず盛大に舌打ちしてしまった俺は悪くない。決して悪くない、と思う(そう思わないとやってられない)
「う、ひゃ?!はは榛名さっ…」
不機嫌そのままに、眉を顰めたままの榛名を見上げた三橋は明らかに動揺して。
「あ、あのっ…!」
「三橋じゃなー」
「う、え、た田島君さよならっ!」
何故榛名が怒っているのか皆目検討がつかない三橋は其れでも嫌われたくない一心で話しかけようとしたが、隣にいた田島が自転車に乗ってわざわざ手を振ってくれたので嬉しくて、其れと同時に律儀な性格の為に挨拶をしなくちゃと義務感から手を振り返した。
面白くないのは榛名だ。いつもは二人きりで三橋が他の人を優先する事などないのに。
むっと榛名が唇を尖らせると更に三橋は焦り、自分が何か悪い事をしたのだろうかと不安げに眉が下がる。
その様子を、自転車を漕ぎながら遠目に見た田島は面白そうに笑っていた。
唯、榛名が嫉妬する話を書きたかったと言う…意味不明なお話。
何故、阿部ではなく田島なのかというと趣味です(6巻を見た直後故)
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