ランダムで選ばれた二人とうちの子一人の小話。騎士犬=文哉編。(全部で6種類)



司渉

職員室まで歩いていると、すーちゃんが教室に戻る最中だった様子で、俺に気づいてこちらによって来る。

「保村先輩!」
「なに?こんなところで会うなんて珍しいね。」

なんていうと同時に、俺とすーちゃんの間に何かが入った、俺はほぼ歩いていた速度なのですぐに止まれたのだが、すーちゃんは小走りだったせいもあって間に合わずそれに突っ込んだ。薄い青の髪が嬉しそうに揺れているのがここからよく見えた。

「おい、日々樹。うちのがきんちょ脅かすんじゃねぇ。」
「いやぁ、こちらが保村くんだと思いましたよ。」
「うっせぇ。黙ってろ。」
「保村先輩。いかがなさったんですか?」
「教育によくないから、離れてもらっていい?」
「私が悪影響だと?」
「悪影響の自覚がない?」

文哉と渉の間に静かな火花が散る。話が見えない司は二人の間で首をかしげているばかりだ。文哉はそっと司を後ろに隠しながら目を吊り上げる。ユニット活動してる間でもみたことない顔で司は文哉をゆするが、これは面子の問題だからと一蹴して吠える。その会話の中で番犬。という単語を拾い上げて、確かに。と司が納得するという話が有ったとかなかったとか。



レオ真緒

レオが霊感が!と言い出したので俺は交通整備もといレオを誘導して時間を決める。そうじゃないと雨が降ってもレオは動かないのは知っている。なので、レオと約束を取り決めて俺は壁に背中を預ける。風邪ひかないような頃合いにしなきゃなぁ。なんて思っていると、名前を呼ばれた。
ちらりとそちらを見ると、生徒会の人間が立っていた。

「すみません、お忙しい中。」
「何?」
「今度のライブの申請書類について二つ書き漏れていたのでリーダーを探してました。」

ちらりと見ると、霊感たっぷりまだまだ時間が切れなさそうだったので、俺でも大丈夫かと問いかければ、生徒会は大丈夫です。というので俺が対応することになった。どれ?と問いかければこれです。この書類のライブ楽曲なんですが。と言い出すので俺は書類をもらって一通りに目を通す。なんじゃこれ。と思うものであった。これはちょっと待って俺にも対処できない。
書かれていた楽曲は『おれが書く!今すぐ書く!』であった。

「レオ、ちょっと作曲中にゴメン。生徒会来てるから、顔上げて。」
「おれの音楽は止められない!」
「わかった、終わったらスタジオでレッスンの半分の時間をそれに使っていいから。」
「本当か?」
「俺が交渉するから。任せて。」

ひそかな契約を取り交わされて、レオはそこで楽譜から顔を上げた。思ったより勢いがよくて俺の顎にレオの頭がクリティカルヒットした。くぐもった声を上げると、生徒会が心配そうに俺に声をかけた。

「あの、大丈夫ですか?」
「これが大丈夫に見えるなら眼科に行った方がいいよ。」

吐き捨てると、いや。そういうわけじゃ。なんて言葉を濁した。痛みに動きながらもそういうとすみません。と謝られた。

「とりあえずレオ。この書類のこれ。もうちょっと詳しく書いて。」
「え?今書いてるし!わからないなあ!」
「……ふむ。」
「あの後で差し替えも可能なので、今いったん別のものを出してもらって、ライト計画書と同時に曲を出してもらったら大丈夫です。」

そう言うので、俺は頭の中で逡巡させる。この後の問題を考えると今の生徒会が言うのが一番早い気がする。レオどうしたい?と聞けば俺の好きにしていいというので俺はさっさと舵切りさせてもらうことにした。

「レオ、ゴメンさっきの契約破棄するぞ。生徒会、いつまで待てそうだ?」
「あぁえっと、今日中なら助かります。」
「わかった完全下校までには書類を渡す」

わかりました。お願いします。と言われたので、俺はレオから書類を奪っていったんスタジオに行くぞ。とレオのケツを叩いて動かす。あとで色々工面するから。と雑な交渉材料をもってレオをスタジオに連れていく契約をすることになった。そして後でめちゃめちゃセナに怒られた。





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