※PSO2

テオドール×カスラ/カスラ視点


「――首の、これなんですか?」

少年の声に目を瞬かせた。
背後から私を緩く抱き締め、もう片手で項の辺りを撫でながら不思議そうな声を上げてきた。
擽ったい、そう諌めようかと考えていた時だった。

「これ……とは」
「ここ、項に……バーコード……? が、刻印されてますよ」
「え」

ここ、と髪の生え際の辺りを押される。
告げられ瞬時に浮かんだのは今は亡き統治者の笑み。
己の出自は嫌と言う程理解している、恐らく産まれた時から刻印されていたのだろう。
だとすればあの少女にもあるのかもしれない。
少年には恐らくですが、と前置きしてかの統治者の仕業だろうと伝えたら、何故か謝られた。
癖にしたってもう少しどうにかならないものか。

「自分では見れませんからね。スキンヘッドにするかこういう関係……でもなければ、見付けられる事もなかったでしょう」
「……こういう?」

バーコードが刻印されているだろう辺りに唇を押し付けながら微かに笑い声を上げる少年。
その吐息にぞわりと背筋を這う快感を、息を吐いてやり過ごし、後ろへ手を伸ばして頭頂を叩いた。

「それにしても、何があるんだろう」
「気になりますか」
「ならないんですか?」
「どうせ管理の一環でしょうから、生体データだと思いますよ。そもそもバーコード自体、そう多量のデータを保持出来ませんから」
「ふぅん……」

つまらなそうに、項に歯を立ててじゃれつく少年に、しょうがないですねと向き直ってこめかみへ口付けた。
それが合図だったかのよう、ゆっくりと。
壁まで伸びる影を溶かしていく。





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