反則(GS2、真咲×主)
「先輩は・・・結構力、ありますよね」
デート先に向かう車内で。
じっと腕を見ながらそう彼女が言うので、俺は「まぁ一応なあ」と返事をする。
「何?何かしてほしいことがおありですか、お姫様?」
「えーと。・・・あのね、例えば、私を抱きかかえたりとかも・・・余裕ですか?」
ためらいながらそう小声で言うのに、俺はしばし考え、思い当たった。
そういえばこの前見た映画で、ヒロインがいわゆるお姫様抱っこをしてもらっていたシーンがあったなあ。
その時に「向こうの国では花嫁を抱きかかえて新居に入ると幸せになれるというジンクスがあるんだよな」などと話をしたが。
・・・もしかして、そのことか?
「お前は軽いからなー。余裕余裕!何なら今度してやろうか?」
その代わり抱えたらそのままベッドに連れて行くけどな?・・・なんて。
つい冗談を交えて言う俺に、彼女は顔を赤くして俯いた。
「・・・なんてな。それは冗談だけど」
黙り込んでしまった彼女に、すぐさまそうフォローを入れる。
すると、蚊の鳴くような小さな声で、「・・・です」という声が聞こえた。
「え?」
「・・・先輩がしたいなら、ベッドまでつれってってくれてもいいです」
「・・・」
「嫌じゃないもん」
そう言う彼女の頬は真っ赤に染まっている。
嫌じゃないもん、て。
ああああもう可愛すぎるのですがお姫様。
「・・・あのなー・・・その顔とその台詞は反則だろう・・・」
俺の方が3つも上なのに、何でこんなに振り回されてるんだろうな。
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