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拍手お礼跡リョ/全1項
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深紅の絨毯に彩られた回廊を突っ切った先。
大きな扉が左右に開かれて、その先に広がった景色。

「いつの間に」

一面降り立った純白、頬を刺すような冷たい風。
どうりで寒いわけだと、12月にしては暢気な考えをしていたらしいが、それでもさして苦にはならないと思うのは感受よりも、好奇心が勝ってしまったと言うべきで。
屋内から漏れる光に、目線の先には2つの影。

「行くか」

影の一つが一歩踏み出し、キシリと新雪を踏みしめる音が続く。


広がる世界に敷かれたくすみ無い色の絨毯、数歩先行く足跡。
コンパスが長いとか、一回り大きサイズとか。
コートが風に煽られてが裾が翻るも、確実に進み続ける背中を正面に捉えて、リョーマは冬空を眺める。

「どうした」

キシリ、と軽く踏みしめるその先の音は続かなく
天を仰ぐのを止めて、振り向いた彼の脇を流れて行く白い息を見送って。

「何でもナイ」

などとはぐらかしてしまうのは、やっぱり…と、リョーマは苦笑する。

そんな伏し目がちなアーモンド型の瞳、何か思うところが有るだろうと跡部は踏む。
アンティーク調の灯りは低めに歩く道のりを照らす、一歩一歩を綴る足下は2人で歩いてきた真後ろの足跡が一人分しか無い。

「何処を」

彼が辿った足跡、その『思うところ』を察するかの様に目を細め跡部は微笑む。

「叶わない所」

物理的にはまだ越える事にはならない場所に。
途端、頭上の雲に似た薄灰に色を変えた跡部は怪訝そうに眉を寄せる。

「幾つも、そう簡単に超えられては困るが」

ある種の自嘲、多少なりとも己への揶揄が混じるのだろうかそんな言い分。

「切磋琢磨、していけたらいいんじゃないの」

簡単には超えさせないと、その心持でいてくれなければ、と。

「ついでに子供っぽい事もさせてよ」

小走りで追いついた肩を並べ、強引にその手の平同士をくっつけて、彼のコートのポケットに突っ込んだ。

「…いつもは嫌がるだろうが」

地を這い出してしまいそうなその声に見あげる表情は、柄にもなく照れているらしい。
それでも、ぎゅっと握り返してくれる大きな手はとても温かいものである。

「今日はトクベツ」

曇り空とは一転リョーマはニヤリと、もう直に日差しが降りそそぐか、それとも見事な月夜になるんだろうかと優艶に微笑んだ。


[終]


ディナーを済ませ、帰路につく二人。
…何の日ですか?(笑)






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