「アスラーン、僕のシャツ知らない?」
「はぁ?こんな時間に、まだ着替えも終わってないのか?」
「アスランが早過ぎるんだよ。何で家出る三十分前から準備終わってるのさ。その後どうするの?」
「キラ………」


晴々とした青空の早朝、アスランとキラは慌ただしく学校に行く支度に取り掛かっていた。
ほぼ準備を終えているアスランとは反対に、キラは未だパジャマ姿のまま。
部屋の隅に置かれたダンボールから中身を掘り返すキラの回りに、床の姿は既にない。

「あぁっ、キラ、部屋を散らかすなよ。折角昨日片付けたんだから」
「だってシャツが見付からないんだもん」

ぷぅっと膨れる頬を軽く突いて、仕方ないとばかりに溜息を吐いたアスランはクローゼットに仕舞っておいた自分のシャツを取り出す。

「ほら、今日はこれで我慢しろ。だから昨日すぐに荷物を片付けろって言ったろ?」
「……折角母さんの小言がなくなったと思ったのに、アスラン、母さんみたいだ」
「おばさんたちが転勤で離れたからって、気を抜けるとは思うなよ」

そう、キラの両親は先日転勤が決まり、遠くのコロニーに一年の間引っ越すことになったのだ。
キラもついて行く予定だったのだが、多々の理由をつけて一人月に残ることになり、心配した両親がザラ家に居候させることにした。
そして引っ越しを昨日行い、キラの居候生活は二日目が今始まったところだ。

「おばさんたちは帰ってこないの?」
「仕事が立て込んで、あと二日は帰ってこれさそうだ」
「ふぅん、そっか」
「キラ?」


にんまりと浮かべるこの笑顔は、昔から何かを企んでいる時に浮かべるそれ。
嫌な予感がアスランの脳裏を過ぎる。
朝食を食卓に置くアスランの腕を引いて、その頬に軽く口付けた。

「!?」
「これから一年間、よろしくね」

悪魔の微笑とは、まさにこのことなのだろう。

キラとアスランの居候生活は、まだ始まったばかりだ。





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キラとアスランの朝ってこんな感じかなぁと思いつつ書いてたらこんな話に.....。
あら不思議。
アスランの貞操を狙う小悪魔キラちゃんといったところでしょうか。





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