「引越しか……」
ボソリとつぶやくと妹の蘇都が本を読む手を休めてこちらを見た。
「なに、あんた引越ししたいの?」
「いや、そういう訳じゃ」
「ないの?だったら引っ越す必要に迫られてるとか」
不思議そうにこっちを見てくるけど、俺だって不思議だ。
「まったく。たださ、言わなきゃいけないような気がしたんだよね」
「引越しって?」
「それだけじゃなくて……ええと、引越しにお付き合い下さった皆様、これからも俺をよろしく!って」
はぁ?とわけわからなさそうな顔をした蘇都に向かって、俺は肩をすくめてみせた。
というわけで。これからもよろしくお願い致します。
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