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貴方が見えない 5



任務明けのカカシと違って、俺は最近配属になった内勤の仕事が当然あって、一日中一緒にいれる訳はない。
そう何度も説明しているはずなのに、一向にカカシは理解を示してくれず、家を出ようとするたびに玄関先で駄々を捏ねた。
「だ~か~ら~!毎日毎日言ってんだろ!俺はこれから内勤の任務のなのっ!」
「それは何回も聞いた。でも内勤ならもう少しぐらいシフトに融通きく筈なんじゃないの
?イルカってば毎日早くから遅くまで仕事しちゃってさ。休日だって仕事行くことだってあるじゃない。全然休めてないじゃない。」
眉間に皺を寄せているカカシが言っている事は、決して間違ってはいなかったけれど。
まだまだ仕事を覚えている段階の俺が、先輩たちよりも早く仕事を終えれる筈もなく、与えられた事をこなすだけでいっぱいいっぱいなのに余裕をもって帰ってこられるはずなんかなかった。
「うるさいな!俺だって内勤とはいえ任務してるんだ!我儘ばっか言うな!」
玄関から飛び出ようとしたら少し離れていたはずのカカシに抱きしめられて、その拘束の強さに思わず体が強張った。
「はな……っ!!」
「そうじゃなくって。俺が一緒にいたいからとかじゃなくって、いやもちろんそれもあるんだけど……。」
何を白々しいと首を捻って睨みつけると、意外にもカカシは困ったような顔で笑っていた。
「そんな無理してるとね。イルカが体壊すんじゃないかって。俺はそれが心配なの。」
分かった?と聞いてくるカカシの声が優しくて、普段なら何でもないはずの言葉に、かぁっと頬に熱が上った。
「ね、任務頑張るのはいいけどさ。体壊しちゃ意味ないでしょ?だから無茶はしないでね。」
「…………善処はする。」
赤くなっているだろう顔が恥ずかしくて、前を見たままの言葉だったが、カカシが嬉しそうに笑ったのは空気が揺れて分かった。
「ほら、遅刻するからいい加減放してくれよ。」
「うん、じゃいってきますのキスして?」
「はぁっ?!」
頭の悪い言葉に後ろを向けば、上機嫌ににこにこと笑うバカカシの顔がアップになった。
「してくれなきゃ離さないよ?」
笑顔のまま小首を傾げるカカシの言葉が本気だと、痛いほどに知っている(知りたくもなかったが)俺は、他にどうしようもなくてその鼻先に唇を押しつけた。
「おらっ!したんだからさっさと放せっ!!」
「え~……。ま、イルカじゃこれが精一杯かな……。」
聞こえているのが分かってるくせに文句を言うこいつが恨めしい。
「いってらっしゃい、今日も頑張ってきてね。」
「………行ってきます。」
不機嫌な顔をして家を出るけれど、出る時に送り出してくれる相手がいるのは、本当は嬉しかった。





2009/1/24
他の奴よりも長い……。バランス悪いなぁ…。











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