拍手ありがとうございます★ 大したモノではございませんが、お礼のssです。ニルティエですよ♪よろしければ召し上がってくださいませv ウサベイド種ヒト型うさぎのティエリアと飼い主ニールの、甘い日常(戯れが過ぎる…)のヒトコマです。 本ブログ掲載の「おいてかないで。」「あつくしないで。」と、連結してますが、これだけでも読めますよv ★★★ あまりみないで。 俺の家にはひとりのうさぎがいる。 うさぎなのに数え方がひとり、なのには理由がある。 俺の可愛いうさぎさんは、さらさらでつやつやな菫色の髪をした美人で可愛いヒト型のうさぎなんだ。 「…むすっと黙ってるだけじゃ、なにもわかんねえだろ?」 いつもの定位置、ソファーの端に腰を下ろし僅かに顎を引いたうさぎの顔を、膝をついて覗き込む。 血よりも深く紅い瞳が、睫毛の奥で鈍い光を放つ。 …かなりご立腹だ。 見た目には涼しげに見えるものの意外と直情的で、いつもなら怒鳴り散らすというか、噛みつくというか、見下したような物言いで食ってかかるのに、こんなに静かに怒っているのは珍しい。 謝るもなにも、ここまで怒らせた理由が見当たらない。 「ティエリア、昼飯あれだけじゃ足りなかった?」 昼間はサンドウィッチを持たせたが、いつもの食欲だと三時のおやつ分も補える量だったはずだが。 太股に置いてある白い手をぎゅっと掴むと、きゅっと握り返してきた。 ? 嫌がんねえな…? 触って応えてくれるってことは、怒りの矛先は俺に向けられたもんじゃねえってことだ。 「ティエリア」 俺を見ろ、とちゅうっとへの字に結んだ唇を啄ばんでやると、ティエリアの瞳が大きく開いた。 次の瞬間、目元から頬、首に至るまで真っ赤に染め上げたティエリアは、 「い、きなりなにをする…!?」 俺が握ったままの手で、俺の顎をグイグイ押して身体を引き離そうともがく。 なにをするにも男前な態度を崩さないが、些細なことのほうが純情で愛らしい。 「なにって、いつもしてるじゃねえか」 「いつもはっ、唇にはしていない!」 「してるだろ。…のときは」 唇の動きだけで囁くと、言葉を読みとったティエリアの眦がさがり、黒いビロードの毛に覆われた耳がへにゃり、と垂れた。 「覚えてない…」 「だろうなあ。おまえさん、あっちのほうで目いっぱいだもんな?」 既に唇への口付けも経験済みだと知ったティエリアは、俺がもう一度顔を寄せようとすると、俺を引き剥しにかかっていた手の力を緩めて睫毛を伏せる。 可愛いよな、やっぱキスが好きなんだ。 「ん…」 ご期待に応えてやわらかくも弾力がある唇を塞いでやると、ティエリアはうっとりとした吐息を漏らして薄く唇を開いた。 無意識なんだろうが、深いキスを誘う仕草が堪らなくて隙間から舌を差し込む。 ティエリアは侵入者にびくり、と一瞬肩を弾ませるも、なにかの確認作業のように角度を変えつつ舌先で俺の舌を突くのをじっと待って、動きを止めたところで絡め取る。 「…っ、!」 意識が飛んでるときに何度もした行為でも素面ではまだ衝撃が強すぎたのか、ティエリアは両手で思いっきり俺を突き飛ばしてくれた。 「っ、う…」 身構えてたはずだが、思いのほか強い力に床にしたたかに腰を打ちつけてしまった。 「し、し…」 床に転がった俺を心配するどころか、涙目で唇を押さえて困惑するティエリアは、珍しく言葉も出ないようだ。 「悪かった、調子に乗りすぎた」 「…おどろいた…」 「ん、そうだな」 ティエリアが唇から手を退けると、唇の端から拭うことすら忘れた残滓が零れていて、俺は立ち上がると、濡れた唇にいかがわしいことを想像しつつもそれを親指で拭ってやり、これ以上脅えさせないように抱き締めた。 「で、なにをそんなに怒っていたんだ?」 「…図書館とは、大人しく本を読むところだと聞いたと思います」 「ああ、まあ一般的に」 仕事に行くのに、人目がないと寂しくて死んでしまう種類のうさぎであるティエリアを留守番させるわけにもいかず、本が好きだから退屈しないだろうと図書館で仕事が終わるまで待たせていたんだ。 「その一般がどこまでを示すのかは理解できないが」 俺のシャツを握った手に力が籠り、顔をあげたティエリアは噛みつく勢いで捲し立てた。 「僕の姿をじろじろと奇異で舐めまわすような視線が堪らなく、不愉快だった。…センスを疑うどこもかしこも破れて穴が空いた服を着た輩は、僕の周りをうろついて読書を邪魔した揚句、突然耳を掴んだんだ!」 万死に値する!、今度は怒りに真っ赤に顔を染め、力が入りすぎた指先は白くふるふる震えている。 「ヒトというのは、何故うさぎの耳を掴むんだ!?実際に自分が掴まれたら嫌だろうに、それすらも判断できないとは…愚かしい…っ」 擁護してると思われるのもなんだから口には出さないが、たぶんそいつは付け耳だとでも思ったんだろうな…。イノベイド種のうさぎなんぞ、そう簡単にお目にかかれるもんじゃねえ。 俺だって話には聞いていたものの、ティエリアを見るまではこんなきれいなうさぎが存在してるとは信じられなかった。 「ごめんな、痛かったよな。ひとりにした俺の責任だ」 ぴんっ、と尖った耳を撫でると、それだけで緊張が解れたのか力が抜けていくのが手にとって判る。 「…別に、貴方を責めているわけではない」 ティエリア自身も、ふいっと視線を逸らしてちいさく呟く。 「みんな、貴方のようにやさしいヒトばかりだといいのに」 可愛いことを言ってくれるよな。 いままでどれだけ寂しい思いをしてきたのか。 俺はとても手本となれるような飼い主じゃねえし、無体なことも強いてるってのに、どこまで俺を夢中にさせれば気がすむんだろうな? 「俺だって、そんなにやさしい人間じゃねえ。…判ってるくせに」 ティエリアの隣に座って細い肢体を抱き寄せもっと身体を密着させると、ティエリアもか細い息を吐いて擦り寄ってきた。 「ニール・ディランディ」 「ん?」 ティエリアは俺の首に両腕をまわすと、そのまま膝のうえに乗っかってくる。 妙に大胆だ。 待て。下腹に触れるティエリアの中心が…。 「…憤りが過ぎたのか、身体が熱い」 はあっ、と艶めかしい息をついたティエリアが真っ直ぐに見つめてくる。 その紅く濡れ煌めく瞳の奥にくっきりと浮かび上がる、滾る炎は。 「ティエリア…?おまえ、まさ…んん!?」 俺の言葉はティエリアの口の中へと消えていった。 キスだけでは物足りない、発情しきったティエリアは両手で俺の顔をがしっと固定してぺろぺろと舐め出す。くすぐったい。 「はやく、鎮めてください」 はやくはやく、と膝のうえで身体を弾ませて熱が孕んだ個所を擦りつける、はしたなくも愛らしいうさぎの姿に、俺のなかのなにかがプチン、と音を立てて千切れた。 ★★★ こんなことがあったもんで、結局はティエリアを職場に連れて行かざるを得なくなった俺に、顔を引き攣らせながらも了承した上司は、 「最初は同伴出勤だなんてふざけるんじゃないわよ、と思ったけど」 パソコンの前に陣取り軽やかに指を動かしているティエリアをちらりと横目で見やり、 「かなりの戦力になりそうだから、まあ赦してあげるわ」 と午前が終わるころにはえらく乗り気だった。 ティエリアは知能指数が高い。 パソコンの基礎知識は昨日の図書館で頭に詰めこんできていたらしい。 『なにか貴方を手伝えることができるかと思って』 昨夜、疲れきって俺の腹のうえでうとうととしながらも、はにかんで笑ってくれたティエリアをそのまま寝かせなかった、のはとりあえず横に置いといて。 今日も最初にやり方をざっと説明しただけで把握し、ほかの先輩オペレーターも真っ青な勢いで覚えて実践した。 デスクワークをまるっと引き受けてくれるパートナーも得た俺は、壁にかけてあった上着を取って振り返る。 「じゃあ、俺は外回りに行ってくるから」 呼びかけに長い耳をひょこん、と動かしてこっちを見たティエリアは、 「気をつけて。定時には戻ってきてください」 言いながらも、俺が傍を離れることに寂しさを滲ませる。 「了解。…あ~、くそ!外に連れてったら駄目?」 小走りでティエリアのもとに駆け寄ってぎゅうっと抱き竦めて問えば、にっこり笑った鬼の女上司は容赦なく俺の尻にヒールをめり込ませた。 「あら、それであなたより営業成績まであげたら、飼い主として立つ瀬がなくなると思うけど?それでもいいならどうぞご自由に」 辛辣な言葉に、髪にちゅうするだけで泣く泣くティエリアを解放すれば、 「いい子でミッションを遂行してきてください」 と逆に慰められてしまった。 「ああ、おまえさんに美味いもんを食わせるのに頑張ってくるさ」 もう一回、今度は頬を狙った俺の唇は差し出された鞄に遮られる始末。 さっさと行きなさい、と上司の怒気に気押されつつ、俺はその場から逃げるように営業に向かった。 ★★★ お読みくださり、ありがとうございましたw うさぎは年中発情してると聞きました。本当ですか?(にやり←) せっかく拍手していただいたのに、こんなですみませ…orz |
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