拍手ありがとうございます! 「おい」 普段より少し低い声で、フィエスタはソファーで寛ぐ幼なじみに言う。 その頬は若干赤く染まっていた。ああ、相当やらかしたなこいつも、とシウダードはぼんやりと思う。 んー?と間延びした返事を返してやると、今度は少し怒りを纏わせた声で彼はパートナーを指差した。 「どうすんだよあれをっ!」 指差した先にはノース。但し普段の数倍浮かれている。その頬はかなり赤く染まっていて、その口から出るのは馬鹿げた笑い声が殆どだ。 そして普段の彼女からは決してしない匂い。それは紛れもなく――酒。 「フィーエスタぁー……えへへー」 特に意味もなくベタベタと絡みつくノースを振り払うのは、なかなか骨が折れるだろう。 フィエスタは仮にも剣士。相手は魔法使いの少女。 自分とて同じ立場なら困るだろう。酔ってしまって上手く働かない脳を動かして、力の加減をしなければならないのだから。とりあえずは腰に回されている腕を除けるつもりなのだろう、フィエスタはノースの手首を掴んで引く。 しかしそれをするとノースは酔ってへろへろの目でキッとフィエスタを睨みつける。 あ、怒られてやんの。 特に助け舟を出さず、シウダードは幼なじみの行く末を傍観しつつ、ロックグラスを手に取った。 「いやーっ!なんでそんなことするのー!?」 「何でってお前……っ」 何でと理由を問われても。とフィエスタは思う。 必要ないし、動きにくい。それに彼女は解っているのだろうか。 自分が女であり、抱きついている相手が同年代の男であることを。 そんなことを考えていると、酒のせいとは違う赤みと熱が頬に集まってきて、フィエスタは顔を逸らしてノースを引き剥がした。 すると今度は、眉を八の字にして上目で言われる。 「フィエスタ……。私のこと嫌いなの?」 「いやそうじゃなくて……」 「じゃあ好き!?」 間髪入れずにそう言われると、返事もグダグダになってしまう。 「う、あ、あぁ……」 「あぁ、じゃなくて!言葉で言えー!」 ぐ、とフィエスタは口を噤んだ。 本気じゃないにしても、何で自分は酔っ払いに告白を強要されているんだろう。 しかしノースは解放はしてくれない。別に物理的に拘束されている訳ではないが、彼女の視線が逃亡を許さない。 |
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