それは人を殺す道具。撃鉄を下げて弾が装填され引き金を引けばそれは簡単に生きているものの命を奪う。
人ならざるものと戦う前まで、それは触れたことがない代物だった。モデルガンならいざ知らず、弾が入っていないだけの重量感のあるそれは、初めて手にしたとき酷く重たかった。

米神に銃口を当てて引き金を引く。極限の緊張状態から一転、もう一人の自らが召喚されて異形のものとそれは戦う。拳銃は本来とはかけ離れた役割を果たすために持っているのだ。

何とはなしにそれを手に取り、自らの頭ではなく銃本来の扱いをしてみようと前へ突き出す。ちょうど現れた人物に向かって撃鉄を下げ、


「ばーん」


カチ、と小さな金属音が響き撃つ真似をした。


「……さすがに驚いたぞ」

「そうみたいですね」


見れば彼が手に持っていたスポーツドリンクは床に落ち、小さな染みを作っていた。幸いだったのは、ほとんど中身が入ってなかったことか。


「急にどうしたんだ、召喚器なんか持ち出して。今日はオフだろう?」

「いいえ、別に」


変なヤツだな、と苦笑して頭を撫でられた。そのまま台所へと向かった彼に対し、僅かに口元を緩ませる。










拳銃で狙い撃ちして手に入るのは、

貴方の心だろうか、身体だろうか。


END.

--------------------

(PERSONA3・真←主)




ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。