拍手ありがとうございます!
ただいまのお礼は学パラ小説が2本と、イラスト1枚です。
灰男オンリー★
【学園パラレル×1+(設定1P).イラスト1枚】
学パラ前話は小説ページに。


+ お礼小説?8 【学園シリーズ 第五話】 +



 

■ 幕開け ■





「え、と。リナリー?」



 どこに行くのか等、何も言われないまま連れてこられたらしいアレンは、少し困ったような顔のまま、リナリーに抱きつかれている。リナリーはというと、至極上機嫌。

 美少女2人の包容シーンに、なんとなく口のはさみ辛いラビ含む生徒会役員は、蚊帳の外状態。

 そんな雰囲気など気にせず言葉を発せれる人間など、生徒会長しか居ない訳で。



「おい、リナリーてめぇ…」



 地を這うような声音が再び体育館内に響いた。

 その声にようやく神田の存在に気づいたアレンが、一瞬灰銀の瞳を見開いて、そのまま呆ける。呆けた表情のアレンに入学式のような凛々しさはなく、16歳の少女の顔をしていた。まぶたを縁取るのが白銀の色をしているのに気づくぐらいゆっくりと目を瞬いた。

 次の瞬間アレンが勢いよくリナリーを引きはがしにかかった。



「リナリー!いきなりここに連れてこないでくださいよ!!神田に怒られに来てるようなもんじゃないですか!」



 リナリーの肩を掴んだままアレンは叫び、恐る恐るといった様子で視線だけを神田に向けた。バチリ、と音がしそうなほど視線が交わり、アレンが思いっきり苦笑する。

 神田はというと、深い皺を眉間に寄せたままアレンを見ていた。しかし蒼に射るような鋭さはなく、いつもと違う神田の様子に、生徒会役員一同戸惑った。無論、ラビも隻眼の瞳を見開いたが、対応力があるため一番に立ち直る。そして勇敢にもリナリーとアレンに近づいた。



「今期主席合格者さん」



 一言、アレンの固有名詞の一つとなった称号を呼べば、接近に気づいていていなかったアレンが勢いよく視線をラビに向けた。灰銀が神田ではなく、こちらに向くと同時に、ラビは人懐こそうな表情を顔に浮かべる。



「初めまして、前々期の主席合格者の、ラビっすーよろしくなー」



 にこりと、笑めばアレンがはっとして、姿勢を正す。一瞬の動作にアレンは真面目なんだなぁと、ラビは静に評価を下す。

 同時に、神田の知り合いにリナリー以外にこんな少女が居たのになぜ誰も知らなかったのだろうか、とも。



「ええと、アレン・ウォーカーです。よろしくお願致します」



 ぺこりと頭を下げたアレンは、同時に微笑みを浮かべた。その微笑みは、入学式で見たものとは格段に違う微笑みで、間近で見たラビは思わず息をのんだ。



「おい、モヤシ」



 そんな温和な雰囲気を壊すように、神田が『モヤシ』と口にした瞬間、きっとアレンの表情が変化し、灰銀はラビから離れ神田へと戻って行った。



「モヤシじゃなくって、アレンです!なんでモヤシモヤシ呼ぶんですか!!バ神田!ワカメ!!」



 愛らしい表情を怒りに染めたアレンが、神田に食いついたうえ、誰も口にしないような、死語を口にした。その瞬間、体育館は凍りつく。今まで歯向かう勇者がいなかった為、神田がどんな反応を起こすのか予想がつかなかったからだ。怒鳴る、殴りにかかる様々な予測と不安が一気に広がる。

 俯いた神田が何かを発する前に、声が響く。



「そうさーユウ、こんな可愛い子に『モヤシ』なんてかわいそうさぁ」



 能天気とも取れる声が余韻を残し、消えて行く。

 その声が誰のものなのかなど、生徒会役員の人間には理解できたが、アレンだけは理解する事が出来ないまま、振り返ろうとした瞬間、暖かな体温に包まれた。



「わぁっ!」



 驚いて声を上げたアレンは、身を振ろうとするが動けない事に気づく。誰かに抱き締められている事に気づくのに多少の時間を有した。



「ら、ラビ先輩!?」

「ラビでいーさぁー」



 のんびりとアレンに訂正を入れると、ラビは腕の中の柔らかくて暖かな少女の存在を心地よく思いながら、にっこりと笑みを浮かべた。視線の先はもちろん神田。

 生徒会の人間にとってはラビの女性好きが始まった程度にしか考えていなかったのだが。



ヒュンーゴチン。



 突如何かが高速で飛ぶ音がすると同時に、痛々しい音が辺りに響いた。

 驚いたのは生徒会の人間だけではない。突如音と共に、消えた腕にアレンも驚いていた。

 アレンの後ろにはしゃがみ込むラビが居た。その近くには先ほどまで神田の傍に落ちていた、元備品の片割れ。もうもう一方は神田の手の中にあった。そこまで来てアレンは、神田が助けてくれた事を知る。

 誰かが何かを発する前に、ラビが勢いよく立ちあがる。



「いってぇーさぁ!!ユウ!!」

「てめぇが、そいつに抱きつくからだろうが!!俺が投げなきゃ、てめぇは―」

「私が蹴り飛ばしてたわ」



 神田の声を遮るように声を発したのは、この自体を起こした張本人、リナリー。彼女の細くて美しい片足は地面から離れていて、蹴りを繰り出す一歩手前の状態で止まっていた。まくり上がっている太ももの先にスパッツが見え、彼女が臨界体制であった事を知る。瞬間的にラビは、食らった攻撃が神田からのものでよかった、思わざるをえなかった。もし、リナリーの美脚を食らっていたらー。思うだけで悪寒が走る。

 両手を上げたラビをみて、アレンはぽかんとしている。



「……神田と仲の良い人…僕たち以外で初めて見ました……」



 ぽつりと、こぼしたアレンの言葉。

 思いがけない発言にラビはアレンに視線を落とせば、身長差から上目遣いのような灰銀と視線が混じる。その瞳は嬉しそうに細められていた。それはラビが神田と交流をしている人であると知った事からくる、微笑みだとすぐさま理解する事が出来た。

 ラビは優しく微笑むと、アレンの頭を優しく撫でた。



「ユウとは、1年からの付き合いさ」



 よろしくな、とニッと口元を悪戯っ子のように広げれば、アレンが驚いたように瞳を見開き、俯いた。どうしたのだろうと、ラビが声をかけようとした瞬間、アレンが勢いよく頭を上げた。



「僕からもよろしくお願いしますね!ラビ!」



 向日葵のような微笑みを浮かべたアレンの眼尻に、涙が溜まっている事にラビは気付く事はなかった。



 こうして、暖かな学園生活が幕を開けるのであった。






 入学編 END

 



■ コメント ■



 ようやく始まりました学園生活。

 更新待っていてくれた方、すみません。

 といいますか、なんだかこのシリーズ、反応が良くて、少しびっくりです。

 にょたアレンちゃん、みんな大好きですよね。

 もちろん、私も大好きです!



 この先のお話は1話完結で、多くても4話ほどで完結してゆくシリーズモノとなって行きます。

 季節感関係なく、ネタが尽きるまでこのシリーズを終える事はありません。

 という事で、ネタ募集。フリーリクエストです★

  ⇒ 注意:CPには気を付けてください。基本的に神アレです。

        「ラビアレ」はラビ&アレンに強制的に変わりますのであしからず(絡みはあります)

        でも、 ← とかは可能です。

        リクが来次第、学園シリーズのページにて一覧を作成予定。

 まぁ、「こんなんどー?」とかでも良いので、お気軽にどーぞー★



 先生が復活されるのを祈りつつ〜★

 今回はこれにて。

 拍手してくださり、本当にありがとうございました!!





09.04.29 冰魔 悟(執筆者)



先生、いつまでもお待ちしております!!
あと1000文字。