新たなる目撃者(SPIY4-1)




注:ファイナルプラスは無視の方向でお願いします。




「なあ、俺達どうしたらいいんだろう」

エターナルの医務室のベッドに浅く腰掛けながら、シンが呟いた。

「そうね」

向かいのベッドにはやはり居心地悪げに座っているルナマリアがいる。

「ミネルバは落とされてしまったから」とエターナルに二人を連れてきた実は落とした張本人の一人であるアスランは、すぐにどこかへ行ってしまっていた。

それから二人は何をする事も無くここに居るのだが、いい加減状況とかも知りたいと思ってしまう。
元々気が長くないシンは特にそうで。

かたん、と小さな音を立てて立ち上がったシンにルナマリアは首を傾げた。

「どうしたの?シン」

それに子供っぽい少し不機嫌な顔を見せて。

「ちょっと俺アスラン探してくる」

ルナは疲れてるだろうから、ここで待っててと扉へと向かう。

それにルナマリアも慌てて立ち上がって、自分も行くと一緒に部屋を出て行った。








停戦直後のばたばたと慌しい艦内を歩く二人に目を止める人間は居ない。

二人はきょろきょろと辺りを見回しながらアスランの姿を探した。

しかし、何処を探しても見つけられなくて、もしかしたらブリッジに居るのでは?と二人で言っている時であった。

「お姉ちゃん!」

聞き覚えのある声がしたかと思うと、ルナマリアに体当たりするかのようにぶつかる小柄な身体。

その人物を見て、シンが驚きの声を上げた。

「メイリン!」

その声にはっとルナマリアが反応して、思い切り少女を身体から引き剥がす。

そうして正面から妹の顔を覗き込んで。

「メイリン・・・・!」

ぎゅっと抱きしめた。

そのまま言葉も無く二人は抱き合ったままだったのだが、意を決してシンが話しかけようとしたところ。

「おい!何をしている。メイリン・ホーク」

何だか高圧的な声に邪魔をされた。

む、っと後ろを見てみれば、銀の髪に白い制服を纏った人物。

とたんにメイリンが姉から離れて慌てだす。

「ああああ!すいません、ジュール隊長!」

ぱたぱたと走っていくメイリンに、ルナが呟いた。

「あれって、イザーク・ジュール隊長よね?何でこんなところに居るのかしら?」

そう言われて初めて、彼があの有名なイザーク・ジュールだと知った。

そういえば、昔ルナマリアが「一度見たら忘れられないくらい綺麗な人よ」と言っていたのを、そんな人間滅多に居ないと思っていたのだが、なるほどと納得した。

光を反射して輝く銀色の髪、整った白い顔に鋭いアイスブルーの瞳。

(白い馬が似合いそう)

まるで王子様に見える等と思っているシンは、後に彼の性格が女王様系だということを知る事になる。

でも、何でザフトの隊長である彼がこんな所にいるのだろう。

思ってじっと見つめていると視線を感じたのか、イザークがシンの方を振り向いた。

「何だ?」

高圧的な物言いにシンの顔が歪む。

それに別の場所から声がかかった。

「おおーい、イザーク!アスラン向こうに居たって・・・・て、何?」

ひょこりと顔を出した相手はイザークと対になるような金の髪で。

だがそんな事より今の言葉が気になった。

「え、アスラン居たんですか?」

隣でルナマリアが声を上げるのに皆がそちらを向く。

それに何も無かったかのようにメイリンが首をかしげた。

「あれ?お姉ちゃん達もアスランさん探してたの?」

それなら一緒に行こうと笑って言うのでぞろぞろと金髪の青年――ディアッカ・エルスマンだと本人が名乗った――の後ろをぞろぞろとついて歩く。

しかし、実はディアッカが本人達を見た訳では無く、人に聞いたという話をした途端。

「この役立たずが!」

とイザークに殴られていたのは少し気の毒に思うと同時にあまり一緒に居たくないかもと思った。




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続きます。






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