*丸赤* 「あっ…」 その人が誰かと間違えて自分を押し倒したと気付いたのは、行為も終わろうと言う頃だった。 何で今、気付いちゃったんだろう… 知らなければ、目の前の愛しい人に、その快楽にだけ集中出来たのに。 今更 拒絶しようとも思わない。 どうせ、身体は言うことをきかない。 どうして、こうなったんだっけ 途切れそうな吐息と共に他の男の名を吐き出した、先輩の腕にしがみつく。 その目は確かにこちらを向いているのに、まるでガラス玉のようで。 そこに俺は映ってはいなかった。 こっち、見てよ 身体の芯に、甘い痺れが走る。 同時に、自分の首筋に突っ伏してくる、先輩。 俺のこと、見てよ 荒い息遣いが寝息に変わると、疲労感が増した気がした。 畜生… 先輩の背中越しに見える、静かに光を放つ月が 目障りだった。 *丸仁前提丸赤。 月=仁王なイメージ。 におたんが若干目障りなあかや。 |
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