――ザ……ザザッ………――

 ひそやかともいえる暗闇が、ディスプレイの放つ光によって照らされている。
 そのディスプレイの前に立つのは、亜麻色の髪と緑色の瞳をもつ妙齢の女性。
 さらにその背後から、四人の女性たちが現れる。

「お久しぶりですわぁ、ドゥーエ姉様ぁ」
「元気そうで何よりね、クアットロ」

 眼鏡をかけた少女、クアットロの声を聞き、ディスプレイをじっと見つめていた女性、ドゥーエが嬉しそうに破顔しながら振り返る。

「ドゥーエ? 確か事件中にゼストに殺されたはずではないか?」
「私もそう聞き及んでいます」

 ドゥーエの姿を見て、背の高い女性たちが不思議そうな顔をし、

「トーレ、セッテ。ドゥーエのISは肉体操作の延長線上にあるのよ? 自分自身の急所を操るなんて、造作もないの」
「ウーノの言うとおり。それに管理局の捜査なんてザルだしね」

 ドゥーエの隣に立つ紫色の紙を持つ女性、ウーノが残った姉妹たちに説明する。
 ともあれ、これで五人そろったわけだ。

「姉妹の半分が管理局に寝返り、ドクターの意思に従うものもこれだけ、か……。なんともさびしい話ね」
「仕方がないわ、ドゥーエ。あの子たちにドクターの意思をしっかり教えるだけの時間もなかったわ」
「チンクちゃんはぁ、もともと向こうの素質もありましたしねぇ」

 悲しそうな顔をするドゥーエとウーノに対し、クアットロは嘲りの表情を浮かべる。
 それに相対するトーレとセッテは無表情だ。
 と、三人の会話に参加するようにセッテが一歩前に出た。
 それに気がついたドゥーエが彼女のほうを向く。

「時に、ドゥーエ姉様」
「なにかしら? セッテ」
「我々を脱獄させたもの、そしてここの来るように指示したもの、すべて見知らぬ一般人でした。今回のこれは、すべてドゥーエ姉様の指示なのでしょうか?」

 もっとも幼い姉妹の言葉に、ドゥーエは小さくほほ笑みを浮かべた。

「いいえ、違うわ」
「では、誰が?」
《――そこから先は、私が説明しよう》

 セッテの疑問に答える声は、目の前のモニター……正確にはモニターに取り付けられたスピーカーから発せられた。





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