「また心配かけちゃうって分かってるのに、時々無性に逢いたくなるの」
その日はやけに言葉数の少なかったアリスがぽつりと呟いた。
僕はアリスの膝に乗っておそらく無意識にゆっくりと頭を撫でるのを心地良く感じながら
それがシロウサギ―――「ユキノ」のことであるのだろうと思う。
表情にいつもの明るさはない。何か辛いことがあったのかもしれない。
僕は時に残酷にアリスを傷つけるこの世界が嫌になって、彼女が傷つかないところへ
連れて行ってしまいたくなる歪んだ衝動に駆られる。
でも彼女はそれを望まない。
そして彼女の歪みを吸い上げようとすればきっとまた制されてしまうので僕はただ彼女に寄り添う。
「全部憶えていられたら良かったのにね」
「僕らの記憶がアリスを患わすなんてあってはいけないよ」
やさしいアリスはきっとユキノだけではなく僕ら皆が消えることを気に病んでしまう。
それでは僕らのいる意味などなくなってしまうのに。
「でもあなたたちの記憶がなくなったらきっと私の中にはぽっかり穴が空いちゃうわ」
「穴が空くなんて大変だよ」と言うと「そういうことじゃないのよ」と
よく分からないけれどアリスが少しだけ笑顔になったので僕は安心する。
アリスは立ち上って僕をベッドの脇に下ろすと「おやすみ、チェシャ猫」と言って
明かりを消した。僕は暗闇の中で「おやすみ、僕らのアリス」と返事をして、ごろんと
仰向けになる。けれど眠りはしない、猫は眠らないものだから。
ひっそりと言葉にはせずに隣に眠る彼女に呟く。
全部を憶えていたら、きっとアリスはこの世界でつぶされてしまうよ。
だからそうならない為にアリスは少しずつ忘れなくてはいけない。
辛いことも、いつかは不思議の国や僕らのことも。
そうして別れの日はやがてやってくるのだということを、きみも僕も もう分かっている。
また微妙(汗)ね、猫のニセモノがいるよ!猫はもっとお馬鹿な感じが好きなのに・・・!(泣)
そういえば初めての猫アリupです。むしろ「猫とアリス」ですが・・・
やはり砂原に猫アリは無理なのか・・・。
前拍手の武アリがアレすぎて恥ずかしくてコレをupしたのですがこれも十分恥ずかしい・・・(遠い目)
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