テニスの王子様(鳳長太郎)



「ねえ、ちょーたろー」


『なんですか?先輩』


「・・・呼んでみたかっただけ」


声を発する度に合わせている背中から伝わってくる振動と体温は心地好い。


『そうですか?』


「・・・・・んー」


『・・・・・』


「ねえ、ちょーたろー」


『なんですか?』


思う。この人の声はいつだって抑揚が無い。ぼんやり聞いていれば何を言っているのかわからない。まるで異国の言葉のようだ。


「りょーのコト好き?」


『・・・どうしたんですか突然』


「ん、なんとなくね」


いつもだ。唐突なのだ。コトバもコウドウも。


「で、りょーのコト、好き?」


『それはもちろん好きですよ。尊敬もしてますし』


「ふぅん。・・・じゃあ、あたしは?」


『??』


「あたしのコトは好き?」


全く以て、この人はどうして何時も答えに困る質問をしてくるのだろうか。


「ね、ちょーたろー?」


『もちろん、先輩も好きですよ』


「へへ、あたしもちょーたろーのコト好きだよ」


『ありがとうございます』

ちくりと痛んだ何かは気が付かない振りをする。


「あ、りょー」


『え?』


先輩のコトバに首だけ振り向いたその瞬間には背中に温もりは既に無い。


「りょー」


名前を呼びながらぱたぱたと宍戸さんに走りよる。
といっても大した距離は無い。


「りょー、ちょーたろーがね、あたしのこともりょーのことも好きだって」


「はあ?」


妬いちゃダメダヨーと言う先輩と馬鹿言ってんじゃねえよと小突く宍戸さんを微笑ましく思う。


「わりぃな長太郎。あんま気にすんな」


こいつアホだから。と続けながら俺に近づいてくる宍戸さんに先輩は口を尖らせて抗議している。


「りょー、聞いてんの!?」


「あー、はいはい聞いてる聞いてる」


明らかに聞いてない。
そんなやり取りを聞きながら立ち上がり制服に付いた草を叩き落とす。


「っ、りょーなんて嫌いっ!!」


不貞腐れた先輩は宍戸さんから離れ俺の後ろへと隠れる。


『先輩?』


「りょーなんか嫌い。大嫌い!!今からちょーたろーが一番好き!!」


「・・・あのなぁ」


また始まったと深い溜め息を吐く宍戸さんと俺の背後で必死に宍戸さんを睨み付けているであろう先輩に挟まれながらわたわたと困ったふりをする。


(本当に宍戸さんを嫌いになればいいのに)


そして俺だけを見てくれればいい―――





☆☆☆
でもちょーたろーは宍戸さんが大好きだから口が裂けてもそんなコトは言えない。いい子で居るために黒さは体内に収めとく(笑)
それを裏表の無い日吉にウザイとか言われてるといい(酷)

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