【水槽少年】


 東京、新宿、大通り沿い。


 ガラス張りの向こう、喫茶店の中にいる女を眺めながら俺はニヤけた。


「あそこ座ってる、ふわっふわした髪の子、可愛くねえ?」


 不機嫌そうな顔で隣を歩く君は、口を開いた。


「…男しか好きにならないんじゃなかったっけ?」


 唇を尖らせ、大袈裟な足音をたててくる。


 あー、つーか俺が好きなのはお前ぃさんだけよと言いたい。


 でも言わない。まだ焦らしとく。







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あと1000文字。