「ヒビキさん、今日飲みにでも行きませんか?」

1つ下の後輩にあたるレイからそう誘われたが
今月はちょっと出費があったことを思い出して…
って別にアイツに散々言われたからちょっといい下着を買ったとかそういう理由じゃないけど!!
でもたかが下着にあのべらぼうな金額。あれがなかったら飲み代くらい・・・

「ヒビキさん?」

「あ・・・いやごめん今日はちょっと…」

行きたいの山々だけど手を軽く合わせて断る私に
レイは一瞬考えた後…

「もしかして…彼氏でもできました?」
「へ?」

口に咥えてたボールペンがポロリと落ちた。






≪ ケダモノケダモノ、コイゴコロ ≫
11








『え!?じゃあアスランまだカガリに手出してないの!?』



電話越しで聞こえる相手の本当に驚いた声に
俺は持っていたボールペンをボキリと折ってしまった。


「キラ…お前俺を何だと思ってるんだ」

『えーー!だって・・・勃てば性欲座ればセックス歩く姿は発情期 じゃないの?』

「・・・切る」

『ちょちょちょッ!冗談だってアスラン!切らないでよ!!』


冷めた目で携帯を見つめる俺に
携帯から悲惨なキラの声と謝罪が響いた。








適当な食材(殆どは冷蔵庫に入ってたタッパーの中身)で晩御飯を済ませて
持ち帰った仕事の続きをしていたときに、珍しくキラからの着信。

俺はカガリの様子を聞いてきたので
至って普通に答えると、先ほどの返事が返ってきたのだ。


『ごめんって、だってアスランならって思ってたからさ~』

「どうせ俺は発情期だからな」

『もう冗談だって本当ににごめんなさい!!ってそういう意味じゃないの!』

「はあ?」





『カガリ、アスランなら受け入れると思ってたんだ』





・・・カガリが

・・・俺なら受け入れる?



「意味が解らない。そもそもお前は自分の妹を男と住まわせるということに関して・・・」

『それぐらいわかってるよ!カガリは僕の可愛い妹だよ!?』

謝ったと思えば今度は呆れるくらい憤怒しているようだ。
「手出してないの!?」とかいうヤツがいまさらシスコンを語るなと
口を挟もうとしたとき


『僕のせいだからね』


どこか困ったような笑った言い方をするキラの言葉。


「なんのせいだって?」

『もーさっき言ったでしょ!聞いてなかった?!』


・・・聞いてなかった。



『だからカガリって今まで男性と付き合ったことってないんだよね』

「・・・見れば解る」

『それ、きっと僕のせいなんだ。
たった二人っきりの家族だし・・・依存しちゃったんだろね、ずっと隣にいた存在だし』

「おい、二人っきりの家族なら、なおさら大事に・・・!」

『だってアスランだから』





「は?」






『アスランならカガリは受け入れてくれる気がしたんだ』


だから俺とカガリの同居を見守ることにしたんだ、と。
これが他のディアッカみたいな男だったら笑顔で即効拒否してる、と。

ようするに、コイツは俺と妹をどうにかさせるために仕組んだということか?






「キラ・・・」

『なになに!?その気になったーなんてww』

「・・・帰ったら覚悟してろ」



そのまま電話を切る直前に
キラの慌てふためく叫びが聞こえたが俺は無視して電話を切った。




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