<1> ざく、ざく、ざく 硬い地面を掘る音がこだまする 「……やってらんない」 私は、はぁーと長い溜息をついて天空を見上げた 地面を掘り出す前は太陽が出てたってのに 今は夜の帳も下りて綺麗な月が輝いていたりする だいたい 何でこんな事になったのよ? 苛々と舌打ちすれば思い出される昼間のやり取り 『そういえば…玉璽が見つからねぇんだよな』 我らが君主、孫策様が思い出したように呟いた それはもう全員が凍りついたように固まったのを覚えてる 玉璽といえば、孫堅様から貰い受けた皇帝の象徴 いうなれば玉璽をもちうる者がこの国一番の権力者なのだ 『無くさねぇように埋めたんだけどよ…どこに埋めたかが分からねぇんだ』 困ったよな、と孫策が笑う こともあろうに玉璽をどこかに埋めた!? ますます失くすわ!と、つっこみたいのも山々なのに言葉が出ない いつもなら「元気があって宜しい!」と笑い飛ばす黄蓋も絶句している 『…ってことで、みんな探してくれ!』 神聖にして犯すべからず、なんて言葉も残されている玉璽がないのは一大事 全員が玉璽探しに強制参加となったのだ → |
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