三成と幸村




「三成殿、なにしてるんですか?」

「海開きをしたらしいと聞いてな」

「なるほど。だから全裸なんですね!」ぽん

「うむ」

「……すみません、目のやり場に少しだけ困ります」

「……」さっ

「えっと……、乳首を隠すのですね、三成殿は」

「見られたら恥ずかしいし」

「もっと重要なところに気が付いて欲しかったのですが」

「……」さっ

「おしい! ヘソじゃありません!」

「……」さっ

「ああっと、離れた! ムカつくほどどうでもいい場所隠した! ワキは隠さなくていいです別に!」

「ワキ毛とか生えてることを知られたらどうしようかと」(幸村にムカつかれた……だと)

「生えていないほうが怖いです」

「ほら、幸村は俺のことをアイドルと思っている節があるから」

「いや確かに三成殿は私の尊敬の対象ですがワキ毛に関しては尊敬しようと思ったことがないです!」

「いやワキ毛を尊敬されたら俺も困る」

「ですよねー!」

「こう、俺にワキ毛が生えているとショックを受けるかもしれないと思って」

「なにを勘違いしているのはわかりませんがそんなところまで私に気遣ってくれているなんて……! 感動しました! 上半期一番の感動をありがとう! ございます!」

「紳士たるものそういった気遣いが大事なのだよ」

「……」グドムッ

「ごむっ」

「なんかすみません」

「幸村に殴られた……」

「いやだから本当なんかすみません」

「グーパンチ……」

「なんというか私の心の中の全ての天使と悪魔の総意でした」

「お前の中の天使と悪魔は仲良しなんだな」

「ええ、まあ。本当、殴りたくて殴ったわけじゃないんです。すみません」

「殴りたくて殴ったわけじゃない……だと!」

「あ、はい」

「殴りたくないというのに殴られた俺の立場は!」

「え、立場、ですか?」

「どうせなら殴りたがっている人間に殴られたいだろう!」

「殴られることには変わりないかと……」

「いや変わる! 殴りたくないと思っている人間に殴られるなんて、殴られ損だと思わないか。逆に、殴りたがっている人間に殴られるということは、少なからず相手の欲求を満たすことができたということで意味が生まれる。ただ殴られるにしても双方なにも得るモノがない殴打とコレでは大きな違いだ」

「つまり三成殿は殴られたいのですか?」

「え、いや、そういうわけではないが、どうせなら殴りたい人間に殴られたいと思っただけだ」

「……すみません、なんか殴りたくなりました」

「なんと! さあ俺を殴れ、殴るんだ!」

「真田流奥義! ハア!」ボグシャッ

「ごむっ」

「殴りたいと思った私と、殴られたいと思った三成殿。よかったです、三成殿! 二人が幸せになれましたな!」

「幸村……俺は今感動に打ち震えているぞ……!」

「ああっ! 三成殿が感動のあまり、あの封印されし伝説の全裸ブリッジを……! 流石です!」



全裸ブリッジが最近のブーム。




 



夏本番!×5 ついでに一言あったらどぞん
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