もう少し・・・ねぇもう少しだけ・・・・

手をつないで・・・抱きしめて・・・・

キスをして・・・どうか・・・

時を止めて・・・・


〜シルバー メモリー 〜



「?」

ふと、呼ばれたような、何かの気配を感じ重い瞼を開く・・・

そこには銀色の長い髪・・・美しい女神の寝顔がある・・・凛とした女神もこの瞬間は少女のよう・・・

出会ったあの頃のように・・・しかし・・・


しっかりと握られた指先・・・力強く・・・何かにすがるように・・・

そしてそっと流れ落ちる美しい雫・・・

フワリ

その銀のまつげから流れるそれがあまりに美しく、儚く感じたから・・・


「・・・?」

「・・・・ごめん・・・起こした?」

瞼にキスをし、それが目覚めとなったのか美しき女神の瞼がゆっくりと開かれる・・・


「・・・・・・」

「どうしたの?」

言葉にならないのか、急に子供のような表情で見つめてくるから・・・

その華奢な体をそっと抱きしめる・・・・

「・・・そこに・・・居た?」

「ああ・・・」

「ずっと?」

「いたよ・・・ずっと・・・」

「離れない?」

「・・・離れない・・・ずっと・・・」


「まもちゃん・・・」

二人だけになった時の特別な呼び名…彼女はそれを呼ぶ…金色に輝いていた美しい髪が、透き通るような美しいシルバーになっても

肌の色が益々白く、儚い線の細さ…そして額に三日月がついていても・・・ああ、彼女はあの日のままの

「うさ」

・・・ずっと愛してやまない・・・・彼女だ・・・・

「夢・・・見てたの・・・離れてた頃の」

「あの戦いの中・・・待ち続けた?」

「ううん・・・ちがう・・・・」


そう言った彼女の表情がすこし寂しそうになる・・・・では・・・

「セレニティ」

「・・・変だよね・・・今はこんな風に繋がっていられるのに・・・」

そう苦笑いする彼女が・・・・彼女の中に、遠い遠い昔愛した人の姿を見たから・・・


「!」

力強く抱きしめた・・・・あの時の彼女まるごと抱きしめたいと・・・・


「夢見てたの・・・二人あの森の奥底の、古い教会で・・・覚えてる?」

「覚えてるよ・・・雨宿りの為寄ったね」

「うん…雷がなって、私怖かったはずなのに」

「怖がっていたよ、震えていた」

「でもね、貴方の腕の中安心できたの…変よね、怖い雷から開放されたいと思っているのに…永遠に鳴り続ければ良いのにって思う私が居たわ……ずっとずっとこのまま手を握っていたい、腕の中に居たいと・・・」

「俺も思っていたよ…」

「えっ?」

「震える君を早く解放したいという思いと、このまま鳴り止まず、嵐が来ればよいと…二人このまま閉じ込められていたいと…月の女神に触れていたい・・・繋がっていたいと・・・そう思っていた・・・」

「エンディミオン」

そう見つめてくる君は何ら変わらない…あの日のまま…美しい女神…

そんな女神に吸い寄せられるように・・・そっと彼女の肩を抱きしめ、キスをする・・・

「んっ」

ああ・・・不思議だね・・・何百年とそばに居る・・・俺の妻として君は過ごし

数えられない程のキスと愛を深め合って、その方法も教え、二人探してきたのに・・・腕の中にいる君はあの日の君のまま・・・

いつまでも少女のようで・・・


「はあっ」

長く深いキスから開放された君が発する甘い吐息が耳にかかる・・・

「離れない・・・いや」

「まもちゃん?」

「ずっと・・・ずっと君を離さない」

・・・あの雷雨の日の日のようだ・・・・あの日も日が差さぬ真っ暗な空間で彼女を抱きしめた・・・

今日もほら、あの日のように深い深い闇の中・・・朝はまだ来ないから・・・・

「朝はまだ先・・・そうだろう?」

「まも・・・」

続きの言葉は彼女の唇を塞ぎ、言えぬ様に・・・・・

繋がっていよう・・・不安ならなお更の事、もっともっと彼女を強く抱きしめる・・・

激しく、俺はここに居るとのアトを残すように・・・手を・・指を握り締めて・・・

彼女の長い髪を乱しながら・・・



強く抱きしめられる腕・・・熱い吐息・・・あの切ない思いをかき消すようにあなたは抱きしめる・・・・

そんな貴方に私は甘えるように腕を伸ばすの・・・ねぇ幸せだからかしら?不安になるのは・・・・

こうして毎晩のように貴方に愛される私なのに・・・なぜ涙がこぼれるの?

「まもちゃ…まもちゃ!」

ただ夢中になって貴方の名前を呼ぶ・・・そうすれば貴方は優しく私の髪を撫でてくれるから・・・・

その優しさに包まれ、そして愛しさと激しさに包まれながら私の瞼は落ちてゆく・・・・

貴方の腕の中で・・・・

意識が落ちてゆく中で貴方の声を聞いたような気がした・・・

「アイシテル・・・ズット・・・ズット・・・」


大好きなその低い声が・・・安心する大好きな優しさが・・・・



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いつも遊びに来ていただき本当にありがとうございます。
随分昔に書いていたお話しをUPしました。
甘々な陛下×クイーンを目指しました。最後お姉さまネタすぎてスミマセン><
黒陛下も好きですが、甘いキングも好きなので・・・
また黒陛下書けるといいなぁ・・・・



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。