ディアナが死んでから、もう2年経つのね。ディアナの墓の前に花束を置き手をあわせ、目を閉じて祈る。ザッという音に目を開け振り向くと隣りで祈っていた男がいた。そいつは祈り終わると立ち上がった。私も立ち上がり、ナナシの名前を呼んだ。

「ナナシ」

「ドロシーちゃんの姉ちゃん、見てみたかったわ」

「…そう?」

「きっとべっぴんさんなんやろうな」

「まあ、ね」

苦笑を浮かべる。ちらりとディアナの墓を見て、またね、と一言、心の中で告げる。くるりと背を向け歩き出すと、隣りでナナシが歩いていた。顔を見ずに言う。

「付いてこないでよ」

「なんでや?」

「何でもいいでしょ」

ざっと足音がした。目の前にはナナシがいた。足を止める。さっきの一言の間に私の前に移動したようだ。そして、体を屈め私と目線を合わせる。喋らなければ好みなんだけど…なんて。そう思っている私がいた。

「…なんでも、ようない」

囁くように言い終えると、目を閉じ唇を重ねてきた。私も目を閉じる。ナナシと唇を重ねるのもこれが初めてじゃないから、嫌な感じはしない、けど、なんとなく不思議な感じがする。唇が離され私の顎に手が添えられる。薄く笑うナナシ。

「ドロシーちゃん、抱いてえぇー?」

「嫌よ、って言ったら?」

「もっかいキスして聞く」

どうせ、抱くつもりじゃない。わかってる。添えられている手を振り払ってナナシに抱きつく。息がかかる距離に顔が近づく。

「これは、えぇー返事として受け取るんやよ、お姫様?」

「どうぞご自由に。盗賊のリーダーさん?」

今夜もまた月が綺麗かな。とかぼんやり思いながら、私はナナシに身体を預けた。













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ナナドロです。ナナシにお姫様って言わせてみたのですが似合わなかった(^o^)
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