酷く地面に叩きつけられて一瞬呼吸をすることを忘れた。背中が痛い。
ひっくり返って咳き込むと、埃っぽい砂が口に入って何度と咳き込む。
咳き込んで空気を吸いいれた口に、また砂が入り込む。
げほ、ごほ、ごほ、ごほ。ああ、みっともねえ。
悔しいから唇を噛み締めれば、じゃり、と砂が音を立てて邪魔をする。
拳で口を拭いながら睨み上げると、自分を打ち負かした年上の男の立ち姿が目に入る。
死んでくれねえかなあ、と心から思った。
死ななそうだなあ、とも思った。上で束ねた黒髪が邪魔で仕方がない。
「いい加減そのヅラ取れよ」
「ヅラじゃない桂だ」
高杉桂/壁
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