“ジリリリリ・・・”
「うーん・・・あとちょっと・・・」
と、目覚ましを止めたのはどれぐらい前だったのか。
「うわぁ!遅刻するじゃん!!」
「いってきまーす!!」
急いで走っても、まだ学校なんて見えるはずもなくて。
あぁ、これは遅刻かな・・・。 実は皆勤賞狙ってたんだけどな。
なんて事を考えてたら後ろから聞きなれた声。
「あれ?お前こんなとこで何してんだよ」 「桃っ!?アンタこそこんな時間にここにいて平気なの?」 「チャリをなめんなよ。それに、近道発見したからな〜」
そう言って、桃はニヤリと笑った。
「後ろ、乗ってくか?」 「えぇ!?」
突然の言葉にただただ驚くばかりで、口をぱくぱくさせてしまう。
「いやよ、このままじゃお前確実に遅刻だろ?皆勤賞、取れなくなっちまうぜ」 「え、なんでそれを・・・」 「質問は後で、とにかく乗った乗った!」
と、半無理矢理に自転車の後ろに立たされて。 私と桃を乗せた自転車はゆっくりと動き出した。
「ねぇ、皆勤賞狙ってるって、なんで知ってたの?」
そう聞くと、何か言ってるんだけど自転車のスピードで全然聞こえない。
「あのさ、聞こえないんだけど?」 「だーーっ、もう!めんどくせぇな・・・」 「何、めんどくさいって・・・」 「だから、お前最初の自己紹介の時言ってただろ?『皆勤賞狙ってる』って」 「それを・・・覚えててくれたの?」
そんな、もうずいぶん前の話なのに。
「まぁ、お前の事だからな」
・・・・・・。
「え、それって何?どういう意味?」 「わかんなきゃいいよ!ったく朝からガラでもねぇよな・・・」
と、自転車を漕ぎながらブツブツぼやく桃がなんだか可愛くて。
「ね、桃」 「んあ?」 「今日さ、このままサイクリングしよっか」 「サイクリングって、オレが漕いでるだけじゃねーかよ!・・・って、しかも皆勤賞取れなくなんだろ!?」 「皆勤賞よりも、今桃と一緒にいたかった。・・・なんて、ダメ?」 「・・・好きな奴にそう言われて断れるわけねーだろ?」
そう言うと、桃はペダルを漕ぐ足に力を込めて。
「お前の為にどこまでも漕いでやるからよ、しっかり捕まってろよ?」
しっかり捕まってるから。 だから、一緒に風を感じさせて。
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桃ちん=自転車、な図式が出来上がっている・・・。 楽しんで頂ければ光栄です。 拍手、ありがとうございましたv
Kirsche管理人:愛美・もも
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