(ヒノエ×弁慶) by 美月 拍手ありがとうございます!! お久しぶりの拍手更新が、 同い年子ヒノ弁ってのもどうなのか(苦笑) このお話は、現代で もしもヒノエと弁慶さんが同い年だったら 幼稚園児ver.です。 お話は全部で5つです。 この設定が苦手な方はご注意下さい。 1 「まあ、可愛らしいお嬢ちゃん。」 そう言われることに、弁慶は慣れていた。 だから、いちいち怒ったり不機嫌になることも、無意味だと思っている。 否定したって、その場が気まずくなるだけ。 ヒノエもよく「お嬢ちゃん」を言われるけれど、ヒノエはしゃべるとすぐに分かる。 父親似のいかにも生意気そうな口調は、男の子そのものだ。 「…あー、コイツは…、」 少し苦笑しながら否定しようとする湛快の袖を引いて、 弁慶はにっこりと笑った。 「…ありがとうございます。 そろそろ行きましょう、『おとうさん』?」 『おとうさん』を強調して言えば、微かに湛快は眉を顰めた。 ヒノエからも言われないその呼び名を、可愛い弟に言われるのも、 悪い気はしないけれど。 「あ? お、おう…。」 「まあ、本当に可愛らしいこと。」 今日もそんな風にやり過ごす。 湛快は苦笑していた。 「―お前、否定しなくていいのか?」 「…めんどくさいじゃないですか。 どうせ、ごめんなさいね、なんていわれて、 きまずそうなかおをされるだけです。」 「―もっと子どもらしいことを言え、弁慶。」 湛快のため息も何度ともなく聞いている。 弁慶が男の子でも女の子でも、通りすがりのあの人には どっちだって関わりない。 だから、どうせ二度と会わないであろうその人に、 いちいち否定することに、弁慶は意味を感じなかったのだ。 「…お前がいいなら、別に構わねえけどよ。」 湛快は、ひとり言みたいにそう言って、その話題から離れた。 この弟は、幼稚園児とは思えないほどに賢く、 大人びたことばかり言う。 けれどその外見は、といえば。 外国の絵本の中から出てきた天使のような愛らしいもので、 はちみつのように淡い色の髪はふわふわと波打ち、 ぱっちりとした瞳は、黒目がち(と言っても瞳の色は黒ではないが)で 睫だって長い。 頬はほんのりと桜色で、肌は雪のように真っ白だ。 女の子でも、そうそうこんな可愛い子はいないと思う。 身内の贔屓目を横においたとしても。 そんな湛快の考えなどまったく気づくこともなく、 弁慶は読みかけの本を抱えて、静かに歩いていた。 *コメントへのお返事はブログにてさせていただいてます。 |
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