txtに置いてあるアイちゃんと次元先生の延長線上的なかんじで。Yルピーチーズのりんごちゃん(次元とまるで関係はありません よ!)と五ェ門のお話です。連作予定。








01






突き刺す冬の日だった。
冬の白い光もささくれた気温も黒々と枯れた木々もみんなどこかしこに刺さっている。わたしはそのいばらを避けることなくざくざくと踏んだ。革靴を突き破り光る冬の気温。ざくざくざく。機械的なまでに無表情、おとろしいほど無感動、無意識なまでに諾々と氷のような校舎へと向かう。ざくざくざくざく。ああ光が目を刺す。こっち見んな。こっち向くな。ひどく嫌悪しそっぽを向いてさ迷わせた視線の先、薄く霜が降ったゴミ捨て場に、足が、二本。生えている。……生えて、いる。あまりに非常識で非現実的なその光景に足元がぐわりとよろめく感覚。思わず額に触れた右手、指の間からもう一度、覗く。………………噫生えている!眉根を寄せじりと思わず後ずさる。なににも関与せず生きていたいのにどうしたものか、この肉塊!口からは呻きの代わりに白い息がふうと飛び出る。うう、うう、うう、どうしたものか。かつかつと動悸がしている。視界がくるくる揺れる。どうしろと!言うのか!というかなんだってこんな一目の着くところに遺棄なぞするんだ馬鹿じゃないの!脳内で絶叫するもたれも聞いてはいない。聞いているのは押し黙ったポリ袋とそこに生えている肉の塊だけである。ああもう、もう、
もぞり
突如肉塊が動いて思考動悸視線、すべて活動停止。復旧には時間がかかります。暫くお待ちくださいーーーーー
いや待て待て待て、
じりじりじりじりにじり寄って震える爪先でポリ袋を蹴り除けた。上がる呻き声!ばっ、と見開いた視線の先、眉間に皺を寄せた男は静かに爆睡していた。





思わず蹴り除けたポリ袋を男の顔に叩き付けたわたしは悪くはない。











「おい女、」


「何」


「俺をどこへ連れてゆく気だ」


「家よ」


「何故」


「何故って、拾ったものには責任持たないと気分悪いでしょう」


「…………………………」





それにけがしてるんでしょう、と小さな声で男に囁くと、男は細い眉をきち、と釣り上げた。天蚕糸のような、張りつめた糸のよう。大柄な男を背に、わたしは突き刺す日にかぶりを振りながら歩いた。なんにも入っていない鞄はかろかろと音がした。路地裏に入って薄暗いうろのような小道を抜けて、この背後の男が蹴りを入れでもしたら崩れ落ちそうなあばら屋に到着。あってないようなものの鍵をポケットから取り出して、引き戸を引く。……………………開かない。ためらいなく引き戸を思い切り蹴り上げ、爪先で横にやる。拳大くらいの隙間が空いたところで両手でがつん、と押した。わたしがようやく入れるくらいの隙間をどうにかこじ開け、体を横にして滑り込ませて狭い玄関で革靴を脱いで鞄を壁際に置いた。男を手招く。男はすこしぽかんとしていて、きりきりしたあの眉はすこし緩んでいる。それにすこしだけ笑って、入って、と言う。けれどどうも男の胸板ではこの隙間は通れないことに気付いて内側から手をかけた、のを男が制する。気をつけて、動かないくせに外れやすいの、と口に出す前に男は戸を盛大に倒した。















続きます。もう少しお待ちください。



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