コネタというにはちょっと長めです。
SSというには設定を補完しきれてません。
分裂、暴走(雪山症候群)のネタバレを少しばかり含んでいます。
暗いです。すごーーーく暗いです。
救いはありません。
それでもよければどうぞm(_ _)m
↓
(1/3)
扉を開ける。
誰もいない。
扉を開ける。
誰もいない。
無数にある扉を片っ端から開ける。
誰もいない。
長門のパトロンと似て非なる勢力とやらが作り出した忌々しい館の中、胸くそ悪い記憶もまだ新しいそこに、俺はいた。
一人きりで。
扉を開ける。
落胆する。
扉を開ける。
落胆が怒りに変わる。
扉を開ける。
怒りが悲しみに変わって。
扉を開ける。
悲しみが絶望になっても
扉を開ける。
誰もいないんだ。
それでも開けることをやめられない。
嫌な汗が全身を濡らして、口の中がからからに乾いて、手が足が寒さ以外に震えても、俺は次々と扉を開ける。
人の気配のない冷たい空気。体の芯から震えてくる。
朝比奈さんも、ハルヒも、長門も…こ、いずみ、も。
誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も
誰もいない。
耳に痛い静寂を壊すのが恐ろしい。音を立てないようにしながら、幾つ扉を開いただろう。
何度落胆し、何度溜息をつき、何度怒りを噛み締め、何度悲しみに打ちひしがれただろう。
何枚の扉を開いただろう。
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