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しとしと…
しとしと…
季節も夏に近づき、只今梅雨入り真っ最中。
連日の雨で、せっかく幸村に貰った連休が台無しだと、佐助は溜め息を吐きながら小十郎の座布団を枕に寝転がった。
「休暇中に小十郎さんと出掛けたかったのになぁ…」
休暇は明後日で終わり。
それまでに止むかどうかもわからない。
「…雨が止まなきゃ出掛けられないじゃん…」
「無理に出掛けるこたぁねぇだろう」
背後から掛かった声に襖へと目をやれば、茶と茶菓子を持った小十郎が立っていた。
「無理に出掛けずとも、ゆっくりすりゃあ良いじゃねぇか」
「だって…小十郎さんと二人で出掛けたかったんだもん…」
起き上がって温かいお茶を飲みながら呟く。
休暇の時位、忍装束ではなく、小十郎が作ってくれた女物の綺麗な着物を着て、共に歩きたかった。
小十郎の恋人として。
「なら、明日雨が止んだらな」
「止むか分かんないよ…。小十郎さんは俺様と出掛けるの、嫌…?」
「そうじゃねぇ。お前が傍に居るなら場所なんざ関係ねぇってだけだ」
嫌なのではなく、共に居られるならば場所も何も関係無い。
恋人が傍に居る。
只それだけで、充分幸せなのだ。
「…そっか。じゃあ出掛けなくても良いや」
「良いのか?出掛けてぇんだろうが」
「ううん。小十郎さんが俺様の事沢山構ってくれるなら出掛けなくても良いや」
「そうか」

大好きなアナタが傍に居てくれる。
それだけで充分。
一緒に出掛けなくても、普段は普通の恋人同士みたいに居られなくても、
アナタがちゃんと傍に居て、ちゃんと見つめてくれる。
きっとそれが一番幸せなんだと思う。

「今夜は寝かせねぇから覚悟しやがれ」
「え゛…ちょっとは加減してよ…?」
「久し振りだから無理だ。諦めろ」
「諦めろって…いぃやあぁぁぁぁ〜!」

結局朝まで離してもらえず、翌日一日中布団から出られなくなったのは言うまでもない。

END

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これからも遅筆ですが、頑張りますので、またのお越しをお待ちしております!

鷺良 蒼龍 拝



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