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お汁粉ネタの小話ランダムで4種類。
こちらは土方×沖田です。

「お呼びと伺いましたが・・・・・・」
そろそろと障子を開けて、歳三の部屋に入ると、
「今日も壬生寺か?」
振り返りもせず、歳三は聞いてきた。
「うん。非番だったし・・・・・・」
総司が壬生寺で子供たちと遊んでいると、歳三が呼んでいると隊士が呼びに来たのだ。
また小言だろうかと、声が小さくなる総司だったが、雰囲気からしてどうやら違うらしい。
ならば、と思い、
「で、どこかお出掛けですか? 護衛でも?」
と聞いてみたのだが、
「いや、違う」
との応え。
じゃ、いったいなんだろう? と総司は首を傾げつつ、書面に目を通している歳三の背を見ていると、廊下を歩いてくる足音が聞こえてきた。
「副長、お待たせしました」
障子が開いて、先ほど総司を呼びに来た隊士が、お盆を持ってきた。
「ああ、ご苦労」
歳三が鷹揚に頷くと、隊士は恭しく室内に置き、出て行った。
「お汁粉?」
盆に載ったお椀を覗き込み呟くと、
「ああ、源さんが作ったそうだ」
振り返りつつ歳三が答えた。
「この間、源さんが手助けしてやった近在の爺さんが、お礼にとたっぷり小豆を持ってきたんで、作ったんだとよ」
「へぇ~。そうなんですか」
話を聞いた総司は、とても嬉しそうなにこにこ顔だ。
「ああ。まだいっぱいあるし、寒い日にはまた作るといっていた」
甘い物好きの総司には、とっても嬉しい話だろう。
「で、出来上がったから、お前と一緒に食べろというから、呼びにいったんだ。でないと、いつまでも帰ってこねぇだろ、お前は」
「あはっ。そうですね」
歳三の言うとおりだと、ぺろっと舌を出し、首を竦めて見せる総司に、
「まぁいい。ほれ、冷めないうちに食べろ」
可愛い奴、といった表情で、自分の椀を持ちつつ、歳三は促してやる。
「はーい」
良い子の返事をして、湯気の立ち上る汁粉を、総司はぱくりと頬張った。
「おいしー」
口いっぱいに広がる甘みに、総司の顔がほんわか~、と蕩けるようだ。
「ああ。なんか懐かしいですねぇ」
井上の作る汁粉は、店で食べるものと違い、素朴な旨さがある。
その味に江戸を思い出した風だ。
ぺろりと綺麗に平らげて、
「ご馳走様でした」
と行儀よく両手を合わせれば、すっと歳三の手が、総司に伸びてきた。
きょとんと見返す総司の口元を拭うように動き、
「いつまで経っても、子供だな」
その指をぺろりと舐めた。
どうやら、汁粉のかすがついていたようだ
子ども扱いされたとぷうーっと、ふくれた総司の頬に再び手を伸ばし、
「冷たいな。暖めてやろうか?」
と、にやりと笑えば、意味を悟った総司が、かーっと頬を赤く染めて、歳三の手を振り払い、どたばたと部屋を出て行った。
後には歳三の楽しそうな笑い声が響くばかり。



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