このままの距離で(夕映→のどか/ネギま) 3学期も終わりに差し掛かり、卒業が間近に迫ってきていたその頃。 私は一人前の魔法使いを目指すべく、再び魔法世界へ向かう事を決めていました。 初めて魔法の存在を知った時から、漠然と考えていた道。本格的にそれを考え始めるようになったのは、あの夏休みの経験が大きかったようです。 つまり私が此処に居られるのは、本当にもう後僅かな間だけ。 普通の高校に進むと言っているのどかとは、離れ離れになると言う事。…何を今更、と我ながら呆れたくなりながらも、棄てきれない想い。 未練がましいと言えば、その通りかもしれないですけど。 「…そっか。やっぱり…行っちゃうんだね」 私が魔法世界へ行く事を話すと、のどかは寂しそうに笑いました。 切り出し難くて、つい先伸ばしにしてしまっていた話。でものどかには、とっくに気付かれていたようです。 私は…この期に及んで尚、考えずにはいられませんでした。 ずっと伝えられなかったこの気持ちを、伝える事を。 そうすればもしかしたら、のどかが私と一緒に来てくれるのではないかと…そんな淡い期待を。 しかし同時に、私は知っていました。 それがきっと、叶わぬ望みである事を。 「ねぇ、ゆえ? 私達はずっと…――友達、だよね?」 だから私には、泣きそうな声でつむがれる言葉を、払い除ける事など出来なくて。 結局、何も変えられない。変わらない。 例えどんなに、遠く離れる事になろうとも。 「勿論ですよ、のどか」 変わらない距離に居続ける事で、あなたが笑ってくれるなら。 近くて遠いこの距離も、決して悪いものではないのでしょう。 お題配布元【片手放し。】 |
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