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 赤い糸


それは家で、なんとなくゲームをしてる時だった。
ふと右手に目がいって、そして見つけた赤い糸。
細い毛糸のような柔らかいそれは、どうやら先があるようで。
手繰り寄せても手繰り寄せても果てがない。
家の中、どこから繋がってるのか好奇心に負けてゲームの電源を切る。
ソファーからよいしょっと立ち上がり、フローリングを歩いて行く。
不思議と引っかかったり、邪魔に思うこともなく糸の捜索は続いた。

「キッチンじゃないか…」

赤い糸はキッチンの戸棚の中に吸い込まれていた。
中に何かあるのかい?
そう思って真っ暗な戸棚に頭を突っ込んで手で漁る。
埃っぽいなぁとぼやきながら探していると、奥の方に何かある。
引っ張り出すと、新聞紙で包まれた「何か」だった。
この埃まみれの「何か」も気になるが今はそれどころじゃない。
右手に繋がる赤い糸はどこだろう?

「あれ… 戸棚じゃないのかい?」

おかしいな。右手の赤い糸はもう戸棚には繋がっていない。
包みをキッチンのカウンターに置いて、糸の果てを探す。
あの古びた倉庫にも糸は伸びていて、中に置いてある兵隊の人形に可愛く蝶々結びされていたが終わりではなく。
頭をもしゃもしゃしながら歩いてきた道を振り返ると、庭に植わってる木々にも糸は引っ掛かっている。
そろそろ、どうなってるのか分からなくなってきたぞ。
気づいたら、腕に結ばれた赤い糸は家中にからみついていた。
キッチンの座らない方の椅子や、いつも使ってないハンガー、果ては二階のベッドやシャワールームにまで。
絡まってるのはとりあえずほどいて、蝶々結びはもったいならそのままにしておいた。
家の中はとりあえず全部見たけれど果ては無さそうだ。
はぁと溜息を一つしてから、幸せが逃げるなぁと思って一つ深呼吸をして気分転換。


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